〈耳寄り〉 一級建築士の合格者は40歳以上が増加傾向
2016/12/19コラム
建設メール
今月15日に発表された2016年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者をみると、受験者数の減少傾向が続く一方で、40歳以上の合格者が増加傾向にあることが明らかになった。今回、40歳以上の合格者の割合は全体の15・2%で、直近10年間では06年度の6・2%から約2・5倍になっている。
この傾向について、総合資格学院を運営する総合資格では「業界における慢性的な有資格者不足を受けて、国や企業が資格取得を強く要請していることが一つの要因」としながら、「これまで受験資格を有しながら建築士資格を取得していなかった40歳以上のベテラン業界人層が資格取得に向けて動いた」と分析。同様の動きが他の建設関連資格試験でも散見されることから、建設業界全体で今後も同じような傾向が続くと考えている。
試験内容に関しては総じて実務者レベルの提案力が求められており、条件を満たした図面を完成させるだけでなく、他者よりも優れた提案能力がある図面を描いた人が合格を勝ち取ったようだ。
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設計製図の合格者数は年々減少しており、5年前と比較すると約800人も少ない。また、合格者の男女比率は前年比で女性が0・8ポイント増加し、合格者の中で女性が占める割合が増えている状況がうかがえる。今年の試験の設計条件は建設需要が高まる「保育所・児童館・子育て支援施設」だったことを考えると、時代の要求に応えることができる建築士が今後も求められるだろう。必要な知識はもとより、今後は実践的で提案力に優れているかどうかが、合格の鍵を握ることになりそうだ。