【公共建築工事+記者の眼】 19年ぶりに一般管理費率引き上げ
2016/12/20記者の目/論説
建設メール
国土交通省官庁営繕部は20日、公共建築工事の一般管理費等率および下請企業の経費率を見直し、公共建築工事積算基準を改定したことを明らかにした。基準の見直しは1997年度以来、19年ぶりで、2017年1月以降に入札公告する営繕工事から適用する。
適正な費用を工事費に反映させるため、国交省発注の営繕工事の受注実績がある建設業者を対象に昨年度に実施した財務実態調査の分析結果を踏まえて改定を行ったもの。
改定後の一般管理費等率は500万円以下の建築工事が17・24%(5・98ポイント増)、300万円以下の電気設備工事で17・49%(5・69ポイント増)、機械設備工事では16・68%(5・48ポイント増)となる。30億円を超える建築工事の場合は8・43%(0・02ポイント増)で、20億円以上の電気設備工事は8・06%(0・71ポイント増)、機械設備工事では8・07%(0・55ポイント増)となり、工事金額が低いほど引き上げ幅が大きい。
また、直接工事費の単価に含まれる下請企業の経費率は、工種により差があるものの、おおむね5ポイント程度、経費率が上がっている。
これにより、RC造4階建て延べ床面積3000㎡程度で、建築工事費が5億円程度、電気設備工事・機械設備工事が各2億円程度の庁舎の場合、今回の改定で工事費は約2・6%増加する見込み。
中央省庁では今回の基準が順次適用される見通しで、地方自治体へも改定内容を連絡しているため、今後、自治体が発注する公共建築工事でも新たな基準が適用されると考えられる。
〈記者の眼〉
昨年の土木工事から約1年遅れで、公共建築工事でも一般管理費等率が見直された。工事金額が低いほど引き上げ幅が大きいということは、言い換えれば小規模工事において、より現場の実態と離れた率になっていた場合が多かったということになる。通常、地方自治体では国に準じた公共建築工事の積算基準を使っているため、自治体でも見直しが進むことは間違いない。今回の見直しは適正な予定価格の設定を求めた品確法運用指針の理念浸透をさらに後押しすることになりそうだ。