見たもん勝ち ～建設業応援団～
【土木学会】 災害対策強化は必須／被災地調査の所見発表
2024/02/09業界動向
建設メール
土木学会（田中茂義会長）は7日、能登半島地震の被災地で行った会長特別調査団による調査後に所見を発表した。災害時の根幹となる幹線道路の耐震性能向上や地域建設企業などと国・地方自治体の連携の充実による対応の迅速化、災害時の孤立集落対策として緊急輸送体制強化の検討などの所見を示したほか、特に地方部における対策の強化が必要であるとした。
能登半島地震の特徴は、建物や構造物の被害、土砂災害や火災、津波による浸水などの「複合的な災害が発生した点」、山間地の集落につながる道路やライフラインが寸断され「集落の孤立などが多く発生した点」、緊急復旧や今後の復興を担う幹線道路に大きな被害が発生し「復旧に時間を要する点」など、被災地の支援の初動対応が取りづらい状況が発生したことを指摘した。
復旧・復興の迅速化に向けては、限られた交通容量を最大限活用し、被災者の生活維持と復旧を両立しつつ進めるため、幹線道路の復旧を急ぐとともに、適切な交通マネジメントによる渋滞緩和に取り組む必要があるとした。今後の余震・降雨や融雪などによる土砂災害発生の危険性や河道閉塞などの二次災害に留意せねばならないことも強調した。
今後に向けた所見としては、災害時に活用する緊急輸送道路の耐震性能を向上や、国・地方自治体・地域建設業など民間企業との連携強化により対応の迅速化、災害時の孤立リスクを評価した緊急輸送体制強化の検討、リスク評価にかかる研究成果や情報・データを集約し、伝承するアーカイブの構築と発信などが提言された。
最後に所見について「今回のような地震災害は、全国のどこででも起こる可能性があることを認識し、特に地方部における地震対策の教訓とすべきである」と総括した。
