【2016年振り返り(1月~6月)】 建設現場でICT活用広がる
2016/12/27建設時事
建設メール
国土交通省の石井啓一大臣が「生産性革命元年」に位置付けた2016年は、i-Constructionをはじめとする生産性向上への新たな動きがみられた変革の年となった。建設生産システムにおける全面的なICTの活用では直轄工事でICT土工の発注が始まり、一部の県でも試行に取り組んでいる。国交省では3月までに15の基準と積算基準をまとめ、導入に備えるなど異例の早さで準備を進めた。
また、ダンピング受注の防止を目的に低入札価格調査基準を見直し、現場管理費の算定率を80%から90%へ引き上げたことも大きな動きだった。地方自治体でも同様の改定を行っており、適正な利潤を確保できる価格での落札が期待されているが、残念ながら最低制限価格に応札が集中し、くじ引きで落札者が決まる状況に大きな改善はみられていないようだ。歩切りに関しては全ての地方自治体で廃止することが決まった。端数処理やランダム係数、積算段階での数字切り下げといった課題は依然残るが、担い手3法の趣旨徹底を図る上で、歩切りの根絶は大きな一歩となった。
社会保険未加入対策は17年度までの目標期限が迫る中、5月に取り組み強化策を打ち出した。その後、下請指導ガイドラインの改定、全国社会保険労務士会連合会との連携強化、来年度以降の現場入場制限の解釈などが進み、来年度からは直轄工事の2次下請以下の未加入業者も排除するなど、引き続き取り組みを強化する考え。
災害関係では熊本地震の発生を忘れてはならない。最大震度7を2回観測し、熊本県や大分県に甚大な被害をもたらした。その後も大雨、台風で大きな被害が出るなど多くの自然災害に見舞われた年だった。いずれも応急対応や復旧に当たり建設業界が重要な役割を果たした。国交省では今後も引き続き建設業に役割を担ってもらうため、本年度から災害復旧時における適切な入札契約方式のあり方に関する検討を始めており、過去の災害での復旧工事の発注事例を発注関係図書と併せて整理した事例集も作成する見通しだ。