【2016年振り返り(7月~12月)】 施工時期平準化の流れ加速
2016/12/28建設時事
建設メール
2016年度予算は安倍総理が指示した早期執行に引き続き、8月に閣議決定された「未来への投資を実現する経済対策」の裏付けとなる大型の第2次補正予算が10月に成立し、今後、国や地方自治体で工事発注が本格化する見通しだ。
施工時期の平準化に向けた取り組みも大幅に進んだ。国土交通省と総務省は社会資本総合整備計画等の交付金事業についてゼロ債務負担行為を設定して事業を実施することが可能である通知を行ったほか、国交省が都道府県が進める施工時期等を平準化する先進的な取り組みを整理した事例集をまとめたこともあって、これまで以上に債務負担行為の活用、速やかな繰越手続きなどを行う自治体が増えた。国交省は17年度当初予算でゼロ国債を設定する見通しであり、今後は17年度および18年度第1四半期における工事量の落ち込み緩和が注目される。担い手3法の改正以降、業界側も各発注者の姿勢を注視している。年度末に工期を設定する「既成概念」を打破する発注者が数多く現れることを期待したい。
経済再生と財政健全化の両立実現を目指す政府の2017年度予算案が22日に閣議決定された。注目の公共事業関係費は5兆9763億円で前年度当初比26億円増の微増となっており、引き続き安定的な確保が図られている。今後は地域単位で発注見通しを統合し一覧表で公表する取り組みも進む予定で、各地域でどの程度の自治体が参加するのか注目される。
また、10月には建設産業政策会議において、10年後の建設業関連制度を見据えた検討が始まった。建設業法、請負契約、経審、技術者制度など現状に合わない状況がある場合、抜本的な見直しが行われる可能性がある。1月以降は①法制度・許可②企業評価③地域建設業―の課題別に検討が本格化する見込みで、議論の行方を注視する必要があるだろう。
技能労働者の資格情報や現場での就業履歴などを業界統一のルールで蓄積する建設キャリアアップシステムは来年秋の運用開始に向けて運営主体と新たな組織体制が決まった。技能労働者の登録数が成功の鍵を握ることになるが、システム開発と並行して行われる全国説明会で、いかにメリットを強調することができるのか、今後の実行段階の取り組みが重要になりそうだ。