【展望2017 ④】 インフラメンテナンスは国民全体で
2017/01/13記者の目/論説
建設メール
インフラメンテナンス国民会議が昨年11月に設立され、産学官民一丸で技術や知恵を総動員して社会資本の維持管理に取り組む環境の実現に向けた大きな一歩を踏み出した。設立時の会員は建設業者・建設コンサルタント・測量業者を含む企業や行政、団体など199者が参加している。
国土交通省所管施設の2013年度における維持管理・更新費用は約3・6兆円だが、老朽化が急速に進む中、10年後は約4・3~5・1兆円、20年後には約4・6~5・5兆円程度まで増大すると推定される。
国交省の石井啓一大臣はメンテナンス産業の育成・活性化とともに、「自治体の支援や理念の普及、市民参画を促し、社会全体で取り組む機運を高めていきたい。効率的・効果的なインフラメンテナンスを実現し、未来の世代により良いインフラを継承していく」との姿勢をみせている。国交省では建設分野に限らず、さまざまな業種の連携や技術の融合を加速し、最先端技術の活用を促していく意向を示す。今後は国民会議を基盤とした取り組み推進、理念の普及、オープンイノベーションの推進、人材育成に関する事業などが本格的に展開される見通しだ。
インフラは国民の生活、社会経済を支える社会全体の資産であり、老朽化が進むと社会そのものの存続も危ぶまれる。地域づくりにおいてインフラメンテナンスは重要な要素となり、地域が自らの地域の社会資本の維持管理を施設管理者とともに考え、取り組む機運を高めていく必要があるだろう。