【担い手育成+記者の眼】 富士教育訓練センターに新たな宿泊棟、共用棟が完成
2017/01/16記者の目/論説
建設メール
全国建設産業教育訓練協会(才賀清二郎会長)が静岡県の富士教育訓練センターで進めてきた「宿泊棟・共用棟」の建て替え工事完了に伴い、12日に竣工式が開かれ、関係者が完成を祝った。
式典で才賀会長は「技能労働者、技術者の育成に全力で取り組み、健全で生産性・効率の高い建設産業の実現に貢献していきたい」とあいさつ。国土交通省土地・建設産業局の谷脇暁局長は「個々の職場のOJTでは難しい基礎的、体系的、現場に即した訓練を実施し、産業発展に大きく貢献されてきた。教育訓練機能が充実・強化されることで、教育訓練施設の中核的な役割がますます高まっていくことを期待している」と、石井啓一国土交通大臣の祝辞を代読した。
完成した共用棟と宿泊棟
同センターは、2013年7月の太田昭宏前国土交通大臣の視察を機に教育訓練体系の中核的センターとして位置付けられ、建て替え計画が進んでいる。今後も教室棟と本館の建て替えを予定しており、来年3月完成、4月供用開始を目指し、本年4月から着工する予定だ。1月中旬にも既存寮や食堂の解体に入り、既存教室棟の解体も今後行う。来年9月に取り壊し、外構工事を含め、センター建て替えプロジェクトが完了する。
新たな宿泊棟は収容定員が従来より100人以上増え、356人の受け入れが可能になった。施設の職員は「技術系だけでなく、設計会社も現場を理解するために利用するところが増えている。学んで帰った後も企業側は、しっかりと継続して育てていく気持ちを大切にしてほしい」と話した。
〈記者の眼〉
建設技術者・技能者育成の中核を担う富士教育訓練センターの新施設が業界団体、有識者、行政経験者などの幅広い支援を受けて完成したことで、お世辞にも快適とは言えなかった研修・宿泊環境が大幅に改善された。今後、順調に教室棟と本館の建て替えが終われば、従来のイメージとは違った、「研修に行きたい」施設へと生まれ変わることだろう。同センターは伝統的な技術・技能だけでなく、現代の技術・技能を伝える機関として極めて大事な役割を担っており、時代に応じて研修の対象も内容も変わっている。ただ、ひとたび途切れてしまうと復活させることが難しい古くから引き継がれてきた技術・技能の継承も重要だ。これを機に同センターのさらなる活用が進むとともに、全国各地で担い手育成の機運上昇につながることが期待される。