【展望2017 ⑦】 4つの取り組みで施工時期平準化を
2017/01/18記者の目/論説
建設メール
先月閣議決定した政府の2017年度当初予算案において、公共工事の施工時期を平準化するために4つの取り組みを進め、建設現場の生産性向上を図る見通しになった。注目はゼロ国債の設定で、国土交通省は平準化につながるゼロ国債として約1413億円を当初予算で初めて設定する。補正予算時での設定と比べて早期に発注手続きに着手できるなど、準備期間を確保した上で発注の前倒しが可能になる見通しで、18年度当初の閑散期における工事量の落ち込みを緩和させる。
国交省では適正な工期を確保するための2カ年国債(国庫債務負担行為)のさらなる活用も行う。17年度は約1492億円の規模で、前年度比で約倍増となり、工期が12カ月未満で年度をまたぐような工事でも積極的に活用していく。
地域単位での発注見通しの統合・公表も進める。国や地方自治体などの発注見通しを統合し、地区ごとに一覧表でとりまとめるもので、東北地方の取り組みを参考に順次、全国展開する。業界からは技術者の配置計画、労務資材の手配に役立つとの評価が出ており、今後の早期発注の効果も期待される。
地方自治体等への取り組み要請も継続し、全国統一の指標を用いて各発注者に自らの工事発注状況の把握を促すとともに、平準化の取り組み推進を総務省と国交省があらためて要請する見通しだ。
国交省の「品確法運用指針に関する相談窓口」に寄せられた相談では発注や施工時期等の平準化に関する内容が増えており、地方自治体でも平準化へ前向きに取り組む動きが出ていることが分かる。まずは17年度第1四半期の工事量が前年度比で、どの程度確保されるのかが注目される。
(おわり)