いまの課題を切り取る① 入契調査抜本見直し-発注者に迫る慣例脱却
2015/09/01特集企画/PR
建設メール
入札契約適正化法(入契法)に基づき国土交通・総務・財務省が公共工事発注者を対象に行う実施状況調査は本年度から大幅に内容が変わった。2002年度の調査開始以来、初の抜本的な見直しとなり、項目を整理・統合するなど回答する側の負担を減らす一方で、調査内容の充実を図った。
狙いの一つは都道府県を通じて規模の小さい自治体にも「担い手3法」の趣旨を徹底させること。
「これまでとはルールが変わったことを意識してもらいたい」と国交省幹部が話すように、「担い手3法」の本格運用を受けて、国が従来にも増して地方自治体へ意識改革を迫る姿勢が表れている。
主な見直しでは入契法で義務付けられている事項について未実施の場合は理由を回答してもらうことにした。発注見通しや落札者(落札者名、落札金額)が非公表の場合などが対象になるが、残念ながら未だに公表していない発注者は存在する。
例えば発注見通しは14年4月1日時点で62団体が非公表=表参照=。落札者に関しては19の市区町村が落札者名、落札金額を公表していない。
発注見通しの公表はまさに「イロハのイ」(国交省幹部)。「件数が少ない」「小さい自治体だから他から入って来て欲しくない」ことを公表しない理由に挙げる自治体があるが、いずれも公表できない理由には当たらない。
国交省と総務省による初の歩切りに関する実態調査では、「慣例」で行っているという回答が多かったことを考えると、入契法で義務付けられている他の取り組みも「慣例」で行っていない場合が多い可能性がある。
品確法運用指針の本格運用を前に国交省が設置した「建設業フォローアップ相談ダイヤル」には、自治体による歩切りの実施や予定価格の設定、設計変更等の実態に関する「現場の生の声」が直接寄せられるようになった。
「慣例」から脱却し「発注者の責務」を全うするために、自治体の早急な意識改革が求められる。