【単価見直し+記者の眼】 石井国交相「3月1日から新単価適用」
2017/02/03記者の目/論説
建設メール
石井啓一国土交通大臣は3日の閣議後会見で、公共工事設計労務単価と設計業務委託等技術者単価について3月1日から新単価を適用する考えを示した。具体的な改定内容に関しては、今月中旬をめどに公表できるよう準備を進めている。
国交省では公共工事の施工時期の平準化に取り組んでおり、先月末に成立した第3次補正予算では約3000億円のゼロ国債を設定したところ。石井大臣は「第3次補正予算の関連事業に新しい単価を適用できるように、できるだけ速やかに単価の見直しを行うよう指示した。新しい単価は3月1日以降に契約締結される発注案件等に適用することを想定している」と話した。
設計労務単価は前年度比で2013年4月に15・1%増、14年2月に7・1%増、15年2月に4・2%増、16年2月に4・9%増と4年連続引き上げられた。また技術者単価は前年度比で14年度と15年度に4・7%増、16年度は3・8%増の伸び率となっていた。
なお、地震被害を受けた熊本県については、特別な労務費モニタリング調査に着手しており、今後、調査結果に応じて機動的に単価改定を行う考え。
〈記者の眼〉
本年度まで3年連続の特例として2月に前倒しで適用されてきた公共工事設計労務単価の新単価は、3月1日から適用される方針がようやく明らかになった。昨年に比べて2週間以上遅い大臣指示となったことから、受注者となる建設業界はもちろんだが、発注者側でも新単価適用の時期を気にしていた地方自治体は多く、まずはほっとしたのではないだろうか。ただ4年連続引き上げとなった16年度単価でもピーク時の1997年度と比較して約93%の水準にとどまっており、さらなる引き上げを期待する声は多い。新単価は今月中旬の発表を待つしかないが、さらに上昇した場合には確実に技能労働者の賃金引き上げにつながり、処遇改善を通じて若者の建設業への入職が進むことを目指す適切な対応が必要であることを忘れてはならない。