【業務の履行期限+記者の眼】 適正な期間確保し平準化を
2017/02/17記者の目/論説
建設メール
国土交通省は工事で施工時期の平準化が進む中、業務の履行期限も平準化する方策を検討している。当初履行期間の適切な設定に加えて、適正な履行期間を確保するための繰越の拡大、国債制度の活用を想定し、調査・設計分野に関する有識者懇談会からの意見も踏まえて建設生産システム全体で平準化を図る意向だ。今後の改善策としては、業務内容の追加や条件の変化といった不測の事態が発生した場合などは繰越制度を使って適正な履行期間を確保することや、工事の平準化を見据えた業務の発注サイクルの見直しなどが考えられる。
測量・地質調査・土木関係建設コンサルタント業務の履行期限について、国交省では当該月に履行期限を迎える業務件数の比率を、4月~12月で25%以上、1月~2月で25%以上、3月は50%以下を当面の目標に掲げるが、3業務全体では目標達成に至っていない
2015年度は当初契約時に履行期限を1月~2月に設定した業務のうち、約半分は3月に履行期限が変更され、繰越制度の活用は1割程度にとどまる。また、最終履行期限が3月の業務は、上半期発注分で59%、下半期発注分で約60%となり、依然として履行期限が3月に集中する状況が続いている。
〈記者の眼〉
工事の施工時期の平準化が進めば進むほど、設計ストックが足りなくなるという事態が発生している。現状でも設計や照査の期間が短いことが設計ミスを引き起こす要因となっており、建設コンサルタント業界からは適正な履行期間の確保を求める声が根強い。また、業務の発注時期が平準化されれば余裕を持って設計作業を進めることにつながり、より良い提案が出てくる可能性がある。業務でも生産性向上が進むように、発注者は履行期限を無理やり3月に設定せずに翌年度へ繰り越すことや、余裕を持った工事発注を考慮した業務の発注時期の工夫など、これまで以上に柔軟な対応が求められる。