見たもん勝ち ～建設業応援団～
〈日々の栞〉 地方都市の生存戦略
2024/10/10コラム
日々の栞
▼栃木県宇都宮市と芳賀町を結ぶ「芳賀・宇都宮LRT（ライトライン）」事業が好調だ。先日、出掛けた際に乗ってみたが、バスと違って専用レーンを走るために渋滞に巻き込まれることもなく快適に目的地へ到着できた。10分間隔で運行しているため時間も読みやすく、排ガスも出さず音も静かだ
▼LRTはJR宇都宮駅東口から芳賀・高根沢工業団地までの14・6kmを通っており、総事業費は684億円を超える。8月25日に開通1周年となり、9月13日には想定よりも3カ月早く利用者数500万人を突破した
▼今後は同駅の西口へ延長約5kmで延伸する計画。市によると駅西側の経済波及効果は約810億円に上ると試算している。西側沿線には東武宇都宮駅もあるため、東武鉄道と連携した周辺の再開発にも注目が集まる
▼開通に伴い、沿線では市や民間による投資が相次いでいる。キヤノンや中外製薬などの企業で大規模な生産増強投資が行われていたり、駅前に分譲価格が1億円を超すマンションの建設も始まったりしていて完成前から購入者が殺到している。また、開通の3年前に開校した小学校が市内最大の生徒数に増加しているほか、相談窓口を通じた移住世帯数は3年で10倍超に増えるなど、中心街活性化が進んでいる
▼地方は人口流出が進んでおり、対策が急務となっている。先ごろ、都心の女性が移住した場合に60万円を支援する、といった政策案が出されて批判の的となっていたが、制度によって移住をさせるのではなく、開発によって住みやすく魅力のある町をつくり、移住者を増やしていくべきではないだろうか。(群馬・NT)
