【建設産業政策会議+記者の眼】 企業評価のあるべき姿探る
2017/02/28記者の目/論説
建設メール
国土交通省の建設産業政策会議におけるワーキンググループで、10年後を見据えた企業評価の検討が始まった。27日の初会合では企業評価全般や今後の経営事項審査(経審)における評価軸・審査方法に関して率直に意見を交わした。
企業評価全般について国交省は今回、現行の企業評価が主に元請けを対象としていることを踏まえ、元請けにならない専門工事業ならではの評価や、民間発注工事における事業者選定につながる企業評価情報、企業評価で評点化に馴染む項目と馴染まない項目の整理など議論の視点を提示。また、経審の企業評価における評価軸では①生産性向上②働き方③地域における建設企業の役割維持―の評価に加え、事業費が右肩上がりではない時代の経営規模の意義、申請手続きの負担軽減などを検討の視点に示した。
委員からは「企業の規模による分類(ランク分け)は必要だと思うが、地域建設業が行うこととスーパーゼネコンにお願いする仕事が、ごちゃ混ぜになっている」「総合評価方式を採用する自治体も増えてきたが、やっていない自治体もある。経審で見るべきものと、総合評価で考えていくべきものとを分けて考えた方がいい」「下請構造をある程度明確にする動きもある。なるべく多くの人に経審を受けてもらうことも必要かもしれない」などの指摘があった。
さらに「建設業だけでなく、あらゆる業界が担い手不足になる。魅力的な産業よりも普通の業界になることが今後の大きな柱。建設業許可の目的は不良不適格業者の排除だったが、そろそろ卒業してもいいのではないか」といった意見も出た。
〈記者の眼〉
今後の議論では経審の申請書類の簡素化が焦点の一つになる。現状では審査項目が多岐にわたるほか、虚偽申請防止の観点から厳密な審査が行われるため、企業によっては申請の負担が大きいとの声がある。実際に地方の主要ゼネコン以上の規模になると、資料が膨大となり、段ボール2~3箱相当の確認書類が提出されるため、確認する側も1社当たり半日程度が必要になるという。また、工事経歴書の確認書類として工事請負契約書等の写しを添付するが、変更契約を結んだ場合は変更契約書も添付しており、中には10数回以上変更を行っている事例もある。許可行政庁側としても全てを確認して審査完工高の正当性を担保しているため、簡単に簡素化ができない側面もあるが、少なくとも審査資料作成を含む事務作業に半年程度かかるような現状は変える必要があるだろう。