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【測量・補償の分離】 見解の相違 浮き彫りに/関東地整と全測連

2017/03/10業界動向

建設メール

 全国測量設計業協会連合会(全測連)関東地区協議会・東京地区協議会は関東地方整備局に対し、用地測量業務における測量と補償の原則的な分離発注を求めてきた。公共測量作業規定の準則は、用地測量を含む公共測量などについて測量法に規定される測量業者以外への発注を禁じているが、現行の発注形態において、大半の案件は補償関係コンサルタントに区分されている。一方で整備局は分離発注による業務効率の低下などを懸念するとともに、公告文で測量士の配置を必須としていることから測量法・作業規定を順守できていると考えており、両者による見解の相違が浮き彫りとなっている。
     ◇
 全測連関東地区協議会の方波見正会長は昨年10月に開催された整備局との意見交換会で、あらためて強く要望を行うとともに、分離発注に努めるとした方針が実行に移されていない現状を訴えた。整備局は原則、同一敷地などで用地測量と補償を行う場合、両業務を合併し、業務区分を補償関係コンサルタントとして発注している。15年度に用地測量または用地調査を補償と合併して発注したのは約70件で、区分は全て補償関係コンサルタントだった(弊社調べ。指名競争入札案件、技術業務、港湾空港、保留などを除く)。
 測量業界側が原則的な分離発注を望ましいとする根拠は測量法と作業規定にあり、歴代の企画部長も同様の根拠をもって原則的な分離発注に努める趣旨の回答を行ったという。
 測量法によると、公共測量は国土地理院が行う基本測量以外で局地的なものや高度な精度を必要としないものを除き、費用を国・公共団体が負担・補助して実施する測量と定義され、作業規定に基づいて行わなければならない。測量業者は営業所ごとに測量士を1人以上置かなければならず、一括下請および測量業者以外の下請は禁止。作業規定の準則では、測量を計画する機関は準則を適用して行う測量について、測量法に規定される測量業者へ発注しなければならないとされている。
 測量業界側は分離発注の利点について、専門業者による精度の高い成果、測量業者・補償関係コンサルタント両者の受注機会創出、業務瑕疵があった場合の相互フォローに加え、路線測量や幅杭設置の段階で現地状況を把握できるため、地権者との交渉などの円滑化も期待できるとしている。
 一方で整備局は現行の発注形態について、公告段階で測量士の配置を必須事項としているため業務区分を補償関係コンサルタントに設定しても測量業者に発注していることと同義であり、測量法および作業規定に準じていることを前提に十分な成果が得られると考えている。
 分離発注の要望に対しては、調査・算定書類や図面などの作成に当たり両業務のすり合わせが必要となることなどから、業務効率の低下につながるとみており消極的。また、測量業者による補償は困難との見方もあり、合併発注のまま業務区分を測量業とすることについても否定的な姿勢となっている。
 国土地理院に見解を聞いたところ、公共測量に当たる用地測量は測量法・作業規定に準じて測量業者への発注が前提となるものの、発注形態については発注者の考え方や業務比率などによって判断され、それに伴って業務区分が補償関係コンサルタントとなることも想定できると述べた。さらに「測量法および作業規定の趣旨を理解し、測量士の知識・経験によって測量の精度が確保されなければならない」と求めた。
 測量業界と整備局双方における見解の相違点は主に、測量法における測量業者の定義と業種区分の妥当性と言える。測量業界側からすれば、測量士を配置できることを根拠として補償関係コンサルタントを測量業者と見なされることや、用地測量の業務比率が大きい案件も補償関係コンサルタントに区分されることについて疑問が解消されないままとなっている。
 長期にわたり議論が平行線を辿る中、双方が納得できる答えを導き出すには、専門的な知識を有する第三者を交えた議論も必要だろう。

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