見たもん勝ち ～建設業応援団～
【インタビュー】 国交省 稲田雅裕港湾局長／各社の開発力に期待
2025/06/17インタビュー
建設メール
 |
|
稲田港湾局長
|
国土交通省は、港湾における地震・津波対策、災害時の海上支援ネットワーク形成などの施策を進めている。また港湾工事における作業船のオートメーション化の検討も進む。最近の港湾関係の動きについて、稲田雅裕港湾局長にインタビューした。
―閣議決定された国土強靱化実施中期計画について
稲田 総額で20兆円強となっているが、資機材や人件費が高騰した場合は予算編成過程で適切に反映するという条件付きで、これから増える要素があると理解している。港湾関係としては高潮高波老朽化対策、地震対策、災害情報収集対策などは5か年加速化対策から引き続き盛り込まれ、協働防護による気候変動適用、災害時に自衛隊・海上保安庁の円滑な利用に資する港湾施設の整備も追加され、合計14施策が盛り込まれた。
―港湾法改正の工事代行制度導入について
稲田 港を管理する地方公共団体は技術職員不足が深刻化している。特に市町村は技術職員が全然いないところもたくさんある。そうしたところで高度な港湾工事をする場合に、国が工事を代行できる仕組みを作った。
―国交省と防衛省と人材確保で連携したことについて
稲田 海上自衛隊の労働経済としての信頼性があるということ。ノウハウを活かせる分野として、港湾運送事業も対象に挙がった。
―港湾工事における施工のオートメーション化、作業船の自動・自律化施工の検討状況について
稲田 少人数で安全に快適な環境で働ける生産性の高い建設業務を実現するための技術革新と考えている。直轄工事を活用する中で、実際に自動化施工の現地試験を実施して、普及拡大の取り組みを進めている。技術革新については各社の開発力に期待している。安全管理のためのガイドラインについても、実証試験で課題が見えてきたらマニュアル化することにつながる。こうした取り組みを同時に並行的にやっていく。
―洋上風力発電における浮体式洋上風力建設システム技術研究組合（FLOWCON）について
稲田 最初は17社ぐらいでスタートした。今は構成メンバーが増えており、取り組みも進化してきている。建設条件は過酷で、波は荒く地震のリスクもある。送電線も非常に長く引っ張らなければならない。しかし厳しいからといって電力料金を跳ね上げるわけにはいかないので、いかに安く効率的に計測していくかが大きな課題。その技術開発をしっかり進めていただきたい。
【略歴】いなだ・まさひろ
九州大学大学院工学研究科卒、運輸省採用。国交省港湾局技術企画課長、九州地方整備局副局長、東北地方整備局長、中部地方整備局長などを経て、2023年7月から現職。1965年生まれ、長崎県出身。
九州大学大学院工学研究科卒、運輸省採用。国交省港湾局技術企画課長、九州地方整備局副局長、東北地方整備局長、中部地方整備局長などを経て、2023年7月から現職。1965年生まれ、長崎県出身。
