いまの課題を切り取る② マイナンバーの影響-要請される厳格な管理
2015/09/01特集企画/PR
建設メール
来年1月から運用が開始されるマイナンバー制度。建設業界にとっても他人事ではない。会社内の個人情報の管理はもちろん、社会保険の加入促進への影響も気になるところ。建設業界にとってのマイナンバー制度を考えてみる
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「個人情報の厳格な管理が求められるようになる」と話すのは特定社会保険労務士で、社会保険労務士らによる任意団体、SR建設業雇用改善協議会の代表も務める木田修氏。
「非常に秘匿性の高い個人情報。会社も『番号を教えなさい』とは言えない」。そのために就業規則を改訂し、入社時に番号を提出してもらえる形を整えなければいけない。さらに保護規程を整備し、「今までの個人情報よりさらに厳しい管理基準を整備する必要がある。ある程度規模の大きな会社であれば、その専門部署をつくってもいいぐらい」と強調する。
専門部署をつくることができない企業の場合は、担当者を決めて、その人以外は番号に触れることができないようにするなどの対策が必要。「もし漏れてしまった場合、なんらかの処分の対象になる可能性もあるが、それ以前に民事上の訴訟でも必ず負ける」。緊張感を持った管理が求められる。
一方で社会保険加入促進への影響はどうだろうか。「加入促進が加速されすぎる」という懸念もあるが、木田氏は「そもそもマイナンバー制度は国民年金などの『とりっぱぐれ』がないようにするという考えがベースにある」。加入していない者もナンバリングされるため、未加入者の把握は容易になる。行政サイドからの加入促進はある程度進むだろう。ただ社会保険へのマイナンバーのスタートは2017年1月から。国土交通省は、17年度をめど企業の100%加入などを目標にしており、いずれにせよ、その頃までに加入促進が進んでいなければいけないのが実態でもある。
現場内の手間の負担についてはどうか。現在、被保険者番号の下4桁で加入を確認しており、それはマイナンバー制が導入されても変わらないと見られ、確認作業や個人情報保護の部分で、特に現場の負担が今より増えることはなさそうだ。