【国土交通省インタビュー】 森昌文技監/技術の進歩を現場に反映
2017/04/05インタビュー
建設メール
国土交通省の森昌文技監は建設専門紙のインタビューに応じ、3月末に策定した国土交通行政における技術政策の基本的な指針となる技術基本計画に対する思いを語った。
2021年度までを対象とする新計画では①人を主役としたIoT、AI、ビッグデータの活用②社会経済的課題への対応③好循環を実現する技術政策の推進―を3本柱に掲げた。4期目となる今回の計画について森技監は「技術の進歩をどのように国土交通行政の技術に反映させていくかが一つの大きなポイント」としながら、「技術開発はされているが、それが社会に根付いていく仕組みには至っていない。社会実装を工夫し、障害を取り除いていくことが私たちの仕事。社会実装に向けて各地方整備局、特に現場を持っている各組織での努力をさらに促したい」との考えを示す。
また、高速道路会社やゼネコンの研究所、都道府県の技術センターなどで日々開発されている技術を広める必要があるとし、「シーズ(企業の技術)が現場のニーズにうまくマッチングし、横展開して広がり、大きなうねりになって、世の中をリードしていけるようにできればと考えている。建設産業に直接携わっていない人たちにも私たちのニーズを伝え、そこでイノベーションを起こしていきたい」と期待を寄せる。
基準を見直すことも重要であるとし、「例えばインフラの点検技術も今と同じような基準をベースにしていると技術開発は頭打ちになってしまう。実装の部分では基準の見直しと、障害を取り払うことを併せてやらなければならない」と話す。
昨年度から始まったICT土工は、さらなる推進が期待される。森技監は「機械の無人操作のように取られてしまうことがよくあるが、基本的には共通のデータの受け渡しによる(建設生産プロセス)全体のデータ化が実態。建設現場にデータを持ち込むということであり、これからの建設現場では至極当たり前になっていく時代が来るのではないか」と考えている。
今後の展開については「調達の方法、基準の見直し、技術開発の流れは、それぞれスピードが違うが、うまくバランスを取りながら企業や若い人たちの技術に対する熱意をできるだけサポートするような形で努力していきたい」と意欲をみせた。