【ICT土工事例集+記者の眼】 第2弾では測量業務の事例も紹介
2017/04/05記者の目/論説
建設メール
国土交通省は建設現場の生産性向上を図るi-Constructionの先行施策の一つであるICT土工事例集の第2弾を作成した。全国で進む具体的な取り組み事例として工事編に加えて新たに測量業務編を設けたほか、様式作成例、ICT機械などの導入に利用できる補助金や税制優遇措置などをまとめている。国交省技術調査課では、事例集を参考にICT土工に挑戦する地域の企業や地方自治体が増えることに期待を寄せている。
第2弾では直轄工事で100件、地方自治体発注工事で4件、直轄の測量業務で12件の事例を取り上げ、取り組みの概要、従来手法との比較、現場の生の声を紹介している。今後、各種会議やホームページ等を通じて事例集の周知を図り、導入や活用の拡大につなげたい考えだ。
国交省では2016年度に約1620件をICT土工対象工事として発注し、584件で実施した。また、全国468カ所で開催した講習・実習には3万6000人以上が参加している。
〈記者の眼〉
測量業務では受注者から「通常と比べて外業が短縮できた」として、外での作業日数が大幅に減った一方、逆に内業が増加したという声が多かった。内業では従来よりも大量の写真や点群処理が必要になるため、作業日数の短縮が難しいようだ。外業でもUAV撮影は天候に左右されやすく、バッテリー容量の関係で飛行時間が短く撮影範囲に限界があるといった課題が指摘された。ただ外業・内業を合わせた全体では期間短縮を図れたとの声が多く、確実に生産性向上に寄与している状況がうかがえる。
発注方法では受注者側が積極的に手を上げることで実現した例が目立った。外業に関しては経験の浅い技術者でも短期間の講習で対応可能だったという。測量業務におけるICTの活用は始まったばかりであり、課題があるのは当然のこと。今後は現場で得られた課題を着実に解決することで、さらなる生産性向上につなげることが求められる。