〈壁耳〉 17年度予算は早期執行なし
2017/04/06記者の目/論説
建設メール
記者 先月末に出された国土交通省の事務次官通達では2017年度事業の執行に際し、早期執行を図ることが盛り込まれませんでしたね。どうしてですか。
デスク 昨年度は「予算の早期成立こそが最大の経済対策」と安倍首相が述べたように、政府として早期に予算執行するため、前倒し実施の指示が出たことが要因。17年度予算の成立に当たっては指示が出なかったので、地方自治体や関係機関も含めて、特に早期執行は実施しないということ。
記者 昨年度とは状況が変わったというわけですか。
デスク 昨年は5月に伊勢志摩G7サミットを控えて現下の経済情勢が最大のテーマになっており、経済対策として早期に補正予算を編成する可能性が高かった。また、あまり大きな声では言えないけれど、昨年は7月に参議院議員選挙もあったからね。
記者 なるほど。ことしは衆議院の解散がない限り、国政選挙は行われないですからね。
デスク 誤解があると困るので説明すると、公共事業は早期執行よりも施工時期の平準化に大きく舵を切っている。国交省が平準化につながるゼロ国債として約1413億円を当初予算で初めて設定したことが、それを物語っている。早期執行(発注)の要望は4月から6月期に落ち込む工事量の改善が大きな目的でもあったので、平準化によって閑散期の工事量が従来よりも増えるならば同じことだからね。それに早期執行をしても補正予算が約束されていなければ「秋枯れ」が心配されるだけだから。
記者 そういえば、昨年度は地方自治体でも施工時期等の平準化の取り組みが一気に進みましたよね。意外でした。
デスク 昨年2月に国交省と総務省が連名で、社会資本総合整備計画等の交付金事業でゼロ債務負担行為を設定し事業を実施することが可能である通知を行った影響が大きい。また、ことし2月には施工時期等の平準化に向けて、初めて財政担当課にも通知を出してる。国が財政当局へ直接お墨付きを与えたわけだから平準化が進むのは当然といえる。結果が出るのはこれからだが、まずは、この4月から6月の工事量を注視する必要があるだろう。