【技術開発・導入+記者の眼】 建設現場の課題解決へ新技術求む
2017/04/14記者の目/論説
建設メール
国土交通省が設立したi-Construction推進コンソーシアムの技術開発・導入WGは、20日に会員を対象とした初のニーズ説明会を開催する。最新技術を建設現場へ導入するため、新たな技術を持つ企業等に対して建設現場で困っていること、現状の問題点等を説明し、今後の新技術の提案や開発を促す。説明会では地方整備局や地方自治体、ゼネコンなどが29件のニーズを発表する。
主なニーズでは、関東地方整備局が洪水時に浸水状況を把握する画像解析技術と排水機場・水門の構造物モニタリング技術を、北陸地方整備局は地中の土質や地下水分布を面的に把握する技術や重量級消波ブロックのプレキャスト製品を、中部地方整備局は土に含まれる自然由来の重金属汚染を短時間で判定する技術、未熟練者でも機械除雪ができる技術など求める。また、新潟県は施工段階で発生する問題に対してAI等の活用により解決法を例示する技術、山梨県は、さまざまな工法の事例等を一元的に閲覧できるサービスが欲しいことを説明する見通しだ。
現場のニーズとシーズ(企業の技術)が一致した場合、6月以降に建設現場への試行導入や建設技術研究開発助成制度の選定につなげていく。
〈記者の眼〉
ニーズ説明会の狙いは新たな技術の掘り起こしとともに、実際に現場で確実に使われる技術を開発することにある。これまでは主に建設業界内で技術開発が促進されていたが、i-Constructionの枠組みができたことで建設分野以外の関連企業がAIやロボットなどの新技術を提供する可能性が出てきた。これにより結果的に建設業界と異分野の企業との企業間連携が進み、これまでになかった新たな市場が生み出されるかもしれない。今回、国交省に限らず地方自治体や施工者となる企業でも現場で多くの課題があることが浮き彫りになった。また、同じ悩みを抱える発注者・受注者もいるはずであり、今後のさらなるニーズとシーズの〝お見合い成立〟が期待される。