いまの課題を切り取る④ 普通作業員の不足-求められる発注平準化
2015/09/01特集企画/PR
建設メール
公共事業をめぐる課題の中で、技術者不足は対策がとられているが、実際に現場を担う普通作業員について問題はないのだろうか。普通作業員がいなければ現場が動かないのは自明の理だが、元請企業の直接雇用が減っており、下請けに頼る状況にある。埼玉県建設業協会の真下恵司会長も以前のインタビューで「普通作業員の確保が難しい」という認識を示していた。下請け頼みとなると、作業員のいる下請け企業の奪い合い、下請け金額の高騰が予想される。直接雇用することで解決できると思われるが、雇用する場合にはコンスタントな仕事量の確保が課題になってくる。
業界ではこれまで、公共工事減少に伴いスリム化を図ってきたため、直接雇用を減らしてきた。東日本大震災の復旧・復興、東京五輪などの需要増は一過性のものとも考えられ、直接雇用に二の足を踏む事情がある。
「学校改修が多い夏場は各現場で作業員が必須となり、不足する傾向にある。その現場での作業が終わって作業員をいったん手放すと戻ってこなくなるので抱え込む場合がある。発注の波があり、より平準化されるとだいぶ違ってくると思う」(総合建設業)
「時期にもよるが、一般作業員確保が難しいのは事実。労務単価上昇もコストを上げている。直営の人数は最低限にとどまっており繁忙期は苦労する。直接雇用を増やすのは仕事が少ないときに負担になる」(土木業)
「年度末の過渡期や業種が重なる時期に人手が足りないというときがある。例えば鉄骨の材料があっても、職人を含めて搬入が難しいということも。かつては直接雇用を行っていたが今では難しく、日々苦労する状態」(建築業)などの声が挙がる。
埼玉県側では「状況を確認した上で必要があれば対応を行いたい」旨の見解を示しているが、普通作業員が足らないという認識はないようす。
企業側が普通作業員を直接雇用するために必要な当面の対策として、年間通じたさらなる発注の平準化とともに中長期的には社会資本整備への継続的な投資が必要だ。