【社会保険対策】 標準約款改正し法定福利費確保を
2017/05/09建設時事
建設メール
国土交通省は公共・民間発注工事で社会保険加入を着実に進めるため、法定福利費の確保に向けた公共工事標準請負契約約款、民間建設工事標準請負契約約款、建設工事標準下請契約約款の改正を検討している。受注者が作成し発注者に提出する請負代金内訳書に法定福利費を内訳明示することを義務付けるほか、発注者が検査合格後に受注者に対して支払う請負代金に法定福利費を含むことを明記する考え。見積もり段階だけでなく契約段階でも内訳明示することで一定の強制力を担保する狙いがある。今夏に開く中央建設業審議会で審議する予定だ。
社会保険の加入促進には、必要な法定福利費が発注者から元請企業を通じて下請企業まで確実に行き渡ることが必要不可欠。そのため、新たな取り組みに当たり、まずは下請約款を先行的に改正する手法が考えられる。
また、地方自治体発注工事でも対策の徹底を図るため、公共標準約款を改正し、元請企業に対し2次以下を含む当該工事の下請けを社会保険加入企業に限定する規定を検討する。ただし自治体の中には、1次下請けへの対策も未実施の団体があることを踏まえて、選択して導入できるような規定も検討していく。
8日に開かれた建設業社会保険推進連絡協議会で参加団体からは、「標準約款の改正に一歩踏み込んだことは評価できる」「受注産業で弱い立場にある。強制力がある程度ないと難しい」などの意見が出ている。