いまの課題を切り取る⑥ 建設発生土の行方-刻み付けたい安全意識
2015/09/01特集企画/PR
建設メール
群馬県前橋市内のストックヤードに5月下旬、熊本県建設業協会人吉支部の視察団が訪れた。管理運営業務を県から受託する群馬県建設事業協同組合による取り組みの先進事例調査のためだ。
群馬県では前橋市内と渋川市内の計2カ所にストックヤードが確保され、建設発生土の搬出入が行われている。近隣の工事で発生した土を搬入し、また、近隣の土を要する工事現場へ搬出。建設発生土の一時保管を担っている。だが搬出量よりも搬入量が多いのが実態で、徐々に土で埋まりつつある。7月現在、渋川では容量の66%、前橋に至っては98%にまで達し、県で対策を検討中だ。
群馬県内にはこのほか、土地区画整理事業の工事に土を要する現場など、複数の残土処分場があるが、これらの存在は恒常的ではなく、もっぱら流動的だ。必要量に達せば、それ以上は受け入れることができないためで、今月あった場所が来月も(場所が)ある保証はない。ストックヤードも残土処分場も近くにない現場での工事は、請負契約時に処分地が決まっていないことも多い。契約後も発注者・受注者共に、その処分地の確保に追われる。
県では数年先を見据え、必要なストックヤードの総容量を把握している。だが「しらみつぶしで探しているが、ヤードの整備場所が見つからない。違う方法も考えなければならない」(建設企画課)と頭を抱えている。
建設発生土の有効活用を図るため、国土交通省では業界団体と協力し『建設発生土の官民有効利用の試行マッチング』を6月から開始した。搬出予定工事や利用希望工事の土量をインターネット上のシステムに登録し、相互にやりくりする試みだ。だが、システムを有効に活用するには、システムの存在の周知徹底、きめ細かな情報入力が不可欠だ。東京オリンピックの開催や震災復興などで、公共・民間問わず工事量が増える中、新たな方策も求められている。