【発注者の在り方】 改善の方向性検討へ議論始まる
2017/05/23建設時事
建設メール
発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムを検討する国土交通省の有識者懇談会の検討部会が22日に初会合を開き、公共事業における今後の発注者の在り方に関する基本問題について専門的知見からの議論に入った。公共事業の主要な段階別に①企業評価・技術者評価等②入札契約方式③監督・検査④建設生産・管理システム全般の4点を主な議題とし、改善の方向性を探る。6月から7月にかけて受注者側の認識を把握するために建設業および建設関連業の主要関係団体へのヒアリングを行い、8月以降、各課題に対する方向性を議論し、10月ごろに骨子とりまとめを予定する。
入札契約方式に関しては、災害復旧や維持管理分野など工事の特性、状況に応じた多様な入札契約方式の準備と環境整備が論点の一つに挙がった。特に維持管理分野では当初想定から不測の対応が多く、契約内容が入札時や精算時で異なることに加え、参加者が極めて少なく、契約手続きの負担や不調不落の危険性が相対的に大きくなっている。
委員からは「日常的な管理を当番制とし3年や5年単位で、それぞれの持ち場で日常的な点検を行い、災害の場合は各持ち場で対応してもらうような発注にしていかざるを得ないのでは」「全国一律ではなく地域性を考慮した上で考える必要がある」「維持管理段階における市場が成り立っていない。施工と維持管理を一体でやってもらうのはどうか」などの意見が出た。
企業評価・技術者評価では、競争参加資格審査で上位等級へ昇級する動機付けなども論点になり、委員から「今のランク制は必ずしも上位ランクになりたいインセンティブが働いていない。ランク制の壁を極力少なくする方向で検討していくべき」との指摘もあった。
国交省では検討部会のとりまとめを踏まえて、具体的な制度設計につなげる見通しだ。