【日建連・山内新会長インタビュー】 建設業の評価を高める
2017/05/29インタビュー
建設メール
日本建設業連合会の山内隆司新会長は建設専門紙の就任インタビューで、「残念ながら建設業の評価はこれまで高くなかった。少しでも建設業の評価を高めたい。そのために週休2日制の徹底、社会保険加入の徹底など働き方改革を実行しなければならない。建設業に従事する人々が誇りを持てるようにする」と新会長としての抱負を語った。
また、「政府が進めるインフラ輸出について建設業もオールジャパンとしてともに動き、寄与していくことが大切」と力説。さらに「東京オリンピック・パラリンピックは国内外で建設業の評価を高める良い機会」としながら、「協会では役割分担も広くし、活発で自由な意見ができるような場にしたい」と述べた。
週休2日に関しては、「3月3日に国土交通省との話し合いで労働時間について要請を受けた。最大の努力を行うので猶予期間を持って、進めたいと返答した。発注者側からも週休2日制が可能なような発注方法をすると返答された」と説明。「以前は日曜全休も難しいと言われたが、今では当たり前のようになった。まず出来るところから進めていくしかない」と今後の方向性を示した。
労働賃金改善に対しては、「製造業に比べ建設業は出遅れている。月間の稼働日を見ると20日から25日だが、年末年始や盆休みは現場もほぼ閉所しているので20日にも満たなくなる。そういうことから他産業と比べ年収は低くなる。その辺の改善をしないと魅力ある産業にはならない」と警鐘を鳴らし、「例えば炎天下でのフィールドワークはそれに見合う収入でなければならない。仕事がきついのなら実入りが良くなければ人は集まらない。それを肝に銘じて対処していかなければならない」と分析。さらに「仕事が少ない時はどうしてもダンピングに走ってしまう。潤沢に仕事がある今こそ、改善しなければならない」と改善の必要性を説いた。
建設キャリアアップシステムについては、「処遇改善の一つのツールで、社会保険未加入問題を100%補足できる。現場が変わっても技量が適正に評価されるので、処遇改善につながる。そのためにもまずは普及させること。データの蓄積により構築されるものになるのだから」と論じた。
建設業を志す若者には「自分たちがやった仕事が形になることに誇りを持ってほしい」と期待を寄せる。
五輪後の建設業の見通しについては「先延ばしにした建設投資はやらないということにもなりかねない。不景気になったら仕事は無くなる。インフラ整備より財政再建ということになったらハードルは高くなる。今できることはやらなければならない」と語った。
【略歴】やまうち・たかし
1969年東京大学工学部建築学科卒業後、大成建設に入社。2007年4月同社代表取締役社長、15年4月同社代表取締役会長。17年4月から日本建設業連合会会長、同5月末に日本経済団体連合会副会長就任予定。46年6月生まれ。