いまの課題を切り取る⑨ 後を絶たない設計変更-受注者泣かせの負担費
2015/09/01特集企画/PR
建設メール
現場と図面の差異、工事に関する解釈の相違から生まれる設計変更。その際に必要となる費用を受注者が負担しているケースが後を絶たない。改善の手立てはあるのか。
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長野県S市とS市建設業協会による意見交換会。設計変更による費用を受注者が負担していることについて、協会は「発注者が負担すべき」と指摘。市は「持ち帰って検討する」と回答を避けた。
ことし2月の長野県と長野県土木施工管理技士会による意見交換会では、技士会が「設計変更、仮設工追加などが必要になるケースが減らず、受注者が自費負担で行っている。費用は技術管理費ではなく業務委託費として計上を」と要請。県は「今の積算では差額が出ること、工程に影響することを認識している。設計内容は審査体制見直しを含めて不具合がないよう努める」と回答した。
設計変更による費用負担は、どうあるべきなのか。品確法基本方針では「請負代金の額および工期に変動が生じる場合には適切にこれらの変更を行う」とする。ここでいう『適切』な設計変更とは何か。費用は誰が負担するのかは見えてこない。
入札契約適正化指針には「受注者に一方的に負担させることは建設業法に違反するおそれがあるため行わない」とある。では、受注者が自費負担に『理解』を示した場合はどうなるのだろうか。
長野県は『適切』な設計変更に向け、設計変更ガイドラインを策定する。現場と図面の差異が生じた場合の具体的対処を示すものとなり、費用負担についても触れる見通しだ。
本年度は任意仮設工を協議事項とするモデル工事も実施する。任意仮設工の計画策定時に変更協議を行い、現場と図面の違いがある場合に『適切な設計変更』を行う。
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県が策定するガイドラインは、市町村の見本にもなる。設計変更による費用は誰が負担するのか、その部分に注目したい。
【資料】 長野県の設計変更ガイドライン策定スケジュール