【建設職人基本法+記者の眼】 基本計画が閣議決定に
2017/06/09記者の目/論説
建設メール
「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」(建設職人基本法)に基づく基本的な計画が9日に閣議決定された。基本計画では政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策として、建設工事請負契約における経費の適切・明確な積算、責任体制の明確化、一人親方等の安全と健康の確保および特別加入制度への加入促進徹底、建設工事の現場の安全性点検、安全と健康に関する意識啓発などを位置付けた。
また、社会保険等の加入徹底、建設キャリアアップシステムの活用推進、働き方改革の推進、墜落・転落災害防止対策の充実強化などを、推進に必要な事項としている。
国土交通省と厚生労働省では今後、関係機関や業界団体などと連携しながら、基本計画に盛り込まれた施策を進めていく。
なお、基本計画策定後、2~3年で施策の推進状況を点検した上で、必要な計画の見直しを行う。
〈記者の眼〉
国の基本計画策定に伴い、今後は法律で努力義務とされている都道府県計画の策定が注目される。特に期限を定めているわけではないが、3月の法施行から3カ月弱という速さで国の基本計画が策定されたことは、現場で働く人の安全と健康の確保が何よりも重要であることを物語っており、都道府県にも積極的な取り組みを期待したい。また、今回の基本計画は「公共工事のみならず全ての建設工事」が対象であり、当然ながら民間工事も含めた建設工事での対策が求められる。職人の安全と健康の前提となる処遇を改善し、地位向上を図るための実効性のある取り組みを進めることが、全国の工事現場での災害撲滅につながることを、あらためて業界全体で認識する必要があるだろう。