【関東整備局と建専連】 専門工事業の課題議論「労務単価に隔たり」
2017/06/28建設時事
建設メール
関東地方整備局と建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)は27日にさいたま市で意見交換会を開き、社会保険の加入促進、専門工事業の評価制度、公共工事設計労務単価などについて話し合った。建専連側は設計労務単価と実勢の隔たりやダンピングの多発など、専門工事業を取り巻く現状を示し、改善を求めた。
才賀会長はあいさつで「建専連は将来を担う若者が希望を持って入職できる環境整備、健全な建設産業を目指して安く請け負わない、ノーと言える企業を目指して行政や関係団体と連携しながら活動を行っている」と述べた。
意見交換で井上曻日本塗装工業会関東ブロック長は、社会保険などの加入促進に向け、民間工事と自治体発注工事における法定福利費の適正な計上について指導を求めた。整備局は22日の関東甲信ブロック監理課長等会議において、法定福利費を積算に含めることや下請け企業を社会保険加入企業に限定することなどを各都県と議論したと説明した。
神戸康弘全国道路標識・標示業協会関東支部長は登録基幹技能者の積極的な活用・評価や専門工事業者の評価制度構築などを要望。整備局は総合評価落札方式で発注する工事において、登録基幹技能者を配置する場合に加点評価する取り組みを行っているほか、専門工事業者の評価に関して特定専門工事審査型の試行を実施していると応じた。関連して、向井敏雄関東建専連会長は建設キャリアアップシステムについて「建設業を根底から変えるのに必要」との考えを示し、システム構築に際して管内都県・建設業団体への働き掛けを求めた。
小関文雄東京建設躯体工業協同組合理事は現場で働く技能者の賃金に公共工事設計労務単価を反映させるための方策について、見解と方策を質問。整備局は、労務単価は労務費調査により各地域・各地域の実勢を反映させているが、意見については共有すると応じた。全企業の社会保険加入や法定福利費の適正な計上など、できることを進めていくとした。対して向井関東建専連会長は「関東地区、特に東京で私どもが請け負っている現場において、国が示す設計労務単価と実勢に大きな乖離がある」との現状を明かした。
最後に内山聖建専連副会長・全国鉄筋工事業協会会長は「専門工事業が生き残るためには仕事をシェアしていくしかないと考えている。2017年度に入って、社会保険を脱退する企業が見受けられる。また、安い受注をやめるよう指導しているが、特に関東でダンピングが始まっている」と厳しい現状を吐露した。