言うに言えない本音、隠れた問題⑤ 機運高まる週休2日-慣例打開へ議論展開を
2015/12/01特集企画/PR
建設メール
「週休2日制」や「4週8休」の導入を推進する動きが活発化している。国土交通省関東地方整備局は、ことし9月に「週休2日制確保モデル工事」の試行を決定。各事務所へ本年度内に1件以上実施するよう通知した。また茨城県は10月、関東地区の都県では初めて「4週8休を確保したモデル工事」を導入。適用案件の発注が始まっている。
若い担い手を確保するためには、休日を増やすことが不可欠という認識のもと動き出した取り組み。日本建設業連合会の中村満義会長も「(休日確保は)必須のこと。覚悟を決めて取り組む」と決意を示す。
そもそも公共工事の工期は、天候不良による作業不能日を加味した上で、週休2日を前提に設定される。しかし、「事前準備が万全でなかったり、想定外の追加工事が発生したりと、当初工期内に仕上げることが困難な状況は起こり得る」(地域建設業団体幹部)という。
「工期の短縮は、技術者のやりくりやリース資機材などの経費削減といった経営的メリットもある。発注者からの評価という点でも、少しでも早く完成させようと思うのは当然。土曜も稼動している現場は多い」(地域建設業者)と、“週休1日が当たり前”という考えは根強い。さらに技能労働者は日給月給制が多く、働き手の側にも「土曜日も出たい」というニーズがある。
機運の高まりの一方で「『休みを増やし、労働環境を改善しよう』という方向性は素晴らしい。ただ、若者の建設業離れには給料の問題もある。適切な工事価格や、週休2日による進捗の遅れが評価のマイナス要因にならないという確約がなければ、普及は難しいだろう」と冷めた見方もある。
関東地方整備局企画部は「工期の短縮だけをとって評価することはない」とした上で、モデル工事について「普及が進まない原因が、発注者側にあるのか、受注者側にあるのか、もっと根幹的なことか。実態を把握し、原因をつまびらかにすることが目的」と意図を説明。そのため、「特別に工期を長く設定したり、週休2日(4週8休)が実施できたか否かで評価を変えることはない」という。
品確法の改正により、公共工事のあり方が過渡期を迎えている。行政は明確なメッセージを込めた一手を打った。モデル工事をきっかけとして、忌憚ない議論が展開されることを期待したい。建設産業の使命の尊さは言わずもがなだが、少子高齢化や人口減少に伴う産業間の人材確保競争を勝ち抜くには、給料、そして休日面の改善が最重要事項であるという現実を直視しなければ、前には進まない。