【都市のスポンジ化対策】 自治体の意識改革も重要
2017/07/12建設時事
建設メール
急激な人口減少に伴い多くの都市の内部において、空き家・空き地が小さな敷地単位で無作為に発生する「都市のスポンジ化」への対応策を検討してきた国土交通省の有識者委員会が、中間とりまとめ案を固めた。施策の具体的方向性として、既に発生したスポンジ化への対策と、スポンジ化の発生に備えた予防策を講じる必要があることを示した。また、施策の実践には、まちづくりの継続性の確保にも配慮しつつ、首長をはじめとする地方自治体の意識改革が重要と指摘した。
現に発生したスポンジ化への対処方策では、市場価値がある物件は後方支援にとどめるべきとしたほか、土地等の所有権と利用権の分離による空き地の利活用、土地・建物の利用放棄などへ行政が働き掛ける手法の導入、低未利用地で当面の需要や有用性が認められる場合は暫定利用を積極的に評価することを提案した。
予防策に関しては、都市空間の管理を推進するための行政と民間または民間主体間の契約的手法の積極的な導入、市街地の整備改善や利便施設の計画から整備・管理までを一体的に行う実施主体や事業手法の検討などを求めている。
共通する論点としては、都市像と施策の全体像を示すマスタープランを通じた実効性の確保や、推進体制・担い手の確保、正しい情報を提供し選択肢の与え方を工夫する手法の導入などを示した。
国交省は今後、中間とりまとめの内容を踏まえて8月の概算要求や税制改正要望に向けた検討を行う。必要な法改正は来年以降の実施を視野に入れている。