言うに言えない本音、隠れた問題⑥ 工事評点のバラツキ-両者の認識の溝埋めよ
2015/12/01特集企画/PR
建設メール
群馬県では毎年、建設業協会と県土整備部の意見交換会が各支部ごとに開催されている。ことしも県土整備部の幹部が県内12支部を回り、要望を聞き取った。10月には総括意見交換会が開かれ、各支部の要望に対し県土整備部が回答した。
要望項目は多岐にわたるが、その一つに『工事評点』がある。
業界は「どこの現場も同じ方法で工事をしているつもりでも検査員の見方で評価が違うことがあり、戸惑ってしまう若手技師(技術者)が多くいる」と主張。これに対し県は「今後も評定レベルの一層の向上に努めるので現行の方法にご理解を願いたい」と答えた。
要望を読み解くと、業界は同じ工法で作業を進めたのに、現場Aと現場Bで評価に差異が出るのはおかしいと感じている。県は同じ施工条件の現場は2つとないのだから、同じ工法で施工したとしても評価に差異が出ることはあると考える。問題の出発点からして認識を異にしているため、両者の主張は平行線だ。
公共工事品質確保促進法運用指針においては「~技術検査を行い、その結果を工事成績評定に反映させる」とされている。群馬県では設計金額500万円以上の建設工事を対象に、建設工事成績評定要領により施工状況や品質などを評価している。評価するのは検査員、監督員、総括職員の独立した3者だ。3者がおのおのの項目に対し細かく点数を付ける。それを積み上げ、一定の点数に達し、建設工事表彰要領により工事監督を行う課長および地域機関の長が内申すれば、その工事は表彰の対象となる。3者は独立し評価しているため、高評価となったり低評価になる場合もあろう。
県契約検査課のある職員は「自然や現場などの施工条件に合致した高品質なものをつくり上げるための施工方法の採用も評価対象の一つ」と述べる。両者の認識の溝を埋めるには、まず、この点の認識を共有することが重要ではないだろうか。