〈耳寄り〉 建設現場の軍事技術は人助け?
2017/07/24コラム
建設メール
三井不動産(東京都中央区)は、同社が設立したCVCファンドを通じて出資しているイスラエルのベンチャー企業「ドロノミー」と、ドローンにより建設現場の3Dデータを取得し、進捗管理の効率化を目指すための実証実験を行った。
現場は中央区で進む日本橋室町三丁目地区の市街地再開発事業A地区。施工者の鹿島・清水・佐藤工業JVの協力を得て、ドローンによる工事現場の空撮や、施工中の建物の3Dモデルを作成した。計測・取得したデータはクラウド上で管理される。今後は工事の進捗管理、計測、関係者間の情報共有の道具として活用を検討し、実現の可能性を探る考えだ。
ドロノミーがソフトウエアを提供するドローンは、操縦を必要としない完全自律飛行が可能なことに加え、高精度の機体制御を行うことができる。建物の壁面に沿った飛行が可能となることで、連続カメラ撮影により習得するデータは誤差1㎝程度の精度で3Dデータが作成できるという。建設現場で利用されているドローンによる測量サービスで世界最高クラスの測量精度を実現しており、生産性向上や事故の低減などが期待される。同社では今回の実証実験を受けて、日本国内でのサービス展開を進める予定となっている。
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ドロノミーはイスラエル軍のドローン研究者や測量部隊の司令官などを務めたトップエンジニアが2015年に立ち上げた企業。実証実験を通じて業務の効率化、人件費削減、安全管理の向上などで効果が確認されれば、生産性向上はもちろんのこと、働き方改革にもつながるだろう。最先端の軍事技術が建設現場で働く人の役に立つというのは不思議なことではあるが。