言うに言えない本音、隠れた問題⑩ 予定価格の妥当性-不透明な見積採用価格
2015/12/01特集企画/PR
建設メール
受注者は、発注者が設定した予定価格の妥当性に苦悩して、その分析に奔走している。理由は単純明快だ。予定価格を算出する発注者の積算には、標準歩掛にない「特殊な工事部分」の価格算出基準が不透明なためだ。
発注者は、公平性を保つため複数者から見積徴収を義務付けられているものの、その見積依頼企業数や採用基準は様々で基準はない。
ある建設業者は嘆く。標準歩掛にない工事金額を算出するため、発注者が見積もりを取る可能性がある業者へ、一社一社連絡を取ることも時にあるという。ただ、当然ながら何社から見積額を取ったかは不明であるし、数社から徴集した見積額のうち、どの価格を採用するかも決まっていないのが現実だ。労多くして功少なし、である。
見積もりの採用基準も発注者ごとに違い、見積額のうち最も低い価格を採用することもあれば、見積もりをとった複数社の平均を採用する場合もあるらしい。
嘆かわしいことだが、ある発注者では見積額の中で最も低い価格から更に八掛けして20%引きすることもあると聞く。同じ発注者でも土木関連部局と、建設関連部局で異なることもあるし、同じ部局内でも工事種別によって変わることがあるようだ。
「予定価格を推測して、自分らの予定価格を積算するために、時間と労力を割いている。特に困っているのが、冒頭に述べた工事部分の積算だ。発注者側が採用した見積額を開示してくれたら、不透明性がなくなり有難い」という本音も聞く。
競争性を確保するために、発注者が開示できないことも十分理解できる。国土交通省では予定価格の作成にあたり、入札参加者の見積額を活用する取り組みを一部で導入しているという。見積額を活用した取り組みが広がり、発注者の採用価格と自分らが採集した実勢価格が、懸け離れないよう、さらには、改正品確法に沿って、受注者が適正な利潤を得られる予定価格の設定を願って止まない。