《連載⑦》 【地域建設業は想定外の災害にどう備えるか】「建設業の1次産業参入に期待」
2017/08/21特集企画/PR
建設メール
第2部の「複業による地域の保全」では、和仁建設(岐阜県)の和仁松男会長による「農林業再生による奥飛の保全」、吉崎工務店(島根県)の吉崎博章社長による「農林水産業再生による隠岐の島の保全」の発表に対し、アドバイザーの海堀安喜国土交通省大臣官房建設流通政策審議官と塩川白良農林水産省大臣官房危機管理・政策評価審議官がコメントした。
海堀審議官は、国交省では建設産業政策会議で建設業が生産性を上げていくにはどうしたらいいか議論しているとし、「会議では、いかにして建設業が地域で継続的に事業ができるか、地域で災害が発生した時に、どのように建設業が災害現場を復旧できるか話し合っている」と説明。
続いて、建設業の参入による農林業の再生について、「地域の建設業は建設機械や人手などを生かして農林水産業など複数の事業を多角的に行うことが、地域で根を張る1番大きな取り組みだと痛感した」と、環境を生かした事業を評価。
また、荒廃した水田の維持管理について、「国交省も所有者の分からない土地や荒廃地の存在に頭を痛めている。管理する人がいない耕作放棄地をどうまとめて、どのように活用していくかが今後の重要な課題。地域の維持発展のため、創意工夫して協力体制を強化していきたい」と話し、業界に協力を求めた。
塩川白良氏
塩川審議官は、2016年の地震や台風による災害で農林水産業に大きな被害が出たが、建設業界の応援で復旧が順調に進んでいることに感謝を述べた。中山間地域や離島地域で「第1次産業の担い手がいないことや担い手の高齢化、耕作放棄地の増加などの問題が地域を成り立たなくさせている。こうした問題が災害に対する防災力の低下につながる。早急な問題解決に向けて農水省もしっかりと支援していきたい」と話した。
また、プレゼンテーションされた和仁会長のアイデア商品に対して「除草を行う『草取まつお』を知り、商品のパンフレットを送ってもらった。除草作業に悩む相談に来た農家の方に『こんな商品がある』と紹介をしたことがあり、相談者に感謝された」ことを紹介した。
稲作業務管理などのマニュアルで取り入れているICT(情報通信技術)の導入の話にも触れ、「今、コンピューターメーカーや自動車メーカーなど多くの大手企業がICTを導入、活用している。一農業法人の和仁会長が農業においてICTを導入していることに敬意を表したい」と応援のメッセージを送った。さらに「建設業界のお二人が異業種に参入したことは、農林水産業の発展に大きく寄与すると強く感じた」とコメントした。(地方建設専門紙の会)
(つづく)