《連載⑨》 【地域建設業は想定外の災害にどう備えるか】「無人飛行機で災害現場撮影」
2017/08/23特集企画/PR
建設メール
急速に普及が進むドローンなどの無人航空機。災害現場調査など活躍の場が無限に広がる一方、軍事目的などの使用が懸念される。第3部で無人航空機ビジネスの最前線について講演した山﨑建設(新潟県)の山﨑健吾社長は「運用には光と影がある」と訴えた。
同社は、無人航空機を使用して空中写真・ビデオ撮影を専門に行う「エア・フォート・サービス」をグループ会社に置く。記憶に新しいのが、6年前の東日本大震災で被災した東京電力福島第一原子力発電所。水素爆発で崩壊した原子炉建屋の鮮明な航空写真を日本全国に届けた。
山﨑氏は「原発事故直後の写真は新聞やテレビ各社で大きく報道され、国民に無人航空機の存在が知れ渡るきっかけとなった」と振り返る。
無人航空機の特色は、人が立ち入れない場所で撮影や調査ができることだ。さらにGPSを利用した位置情報の確認によって自動自律航行が可能となる。
災害現場では素早く的確な情報を収集し、その情報によって初動の対応方針を示すことが最も重要とされる。「われわれの使命はいち早い情報の提供」と山﨑氏は強調する。日本列島のような火山大国では「定期観測も大変重要」とも付け加えた。
近年は、固定翼、ヘリコプター、マルチコプターなど各種の無人機開発が進み、用途も農薬散布、物資輸送、避難者捜索など多岐にわたる。
建設業界では、測量分野での活用が進んでおり、「地上型測量機器では死角ができやすい地形でも、レーザースキャナーを搭載した最新ドローンは、上空より正確かつ短時間な測量を実現している」。
一方、山﨑氏は「便利なものができればそれを悪用する現実もある」と警鐘を鳴らす。軍事の偵察用や監視用、さらには兵器としての転用を危惧してのことだ。
福島原発事故を空中撮影した際には同社に対し、「当時、広く認知されていない無人航空機に関して、警察機関や防衛省の定期的な調査が入った」という。
山﨑氏は「無人航空機の市場規模拡大には、ユーザーのモラルと法的な整備のさらなる強化が今後必要となる。正しい使い方をし、社会貢献をしなければならない」と結んだ。(地方建設専門紙の会)
(つづく)