【国土交通省インタビュー】 土地・建設産業局長 田村計氏「健全で魅力ある産業に」
2017/08/24インタビュー
建設メール
国土交通省土地・建設産業局の田村計局長は就任インタビューで、「建設業における課題が大きく変わり、担い手不足とった全体の変化の中で建設業を健全で魅力ある産業にするためにはどうするかという政策の流れになっている。この流れを、より確かなものにしていかなければならない」との考えを示した。
建設業の働き方改革に関しては、「労働基準法の改正を臨時国会で審議するという議論もある。(改正法)成立から5年の猶予期間が与えられているが、その間の時間を無駄にしないことが大切。発注者も仕事を頼む人がいなくなるというところについては危機感を持っていると思うので、発注者から技能者まで一体となって建設産業をより良いものにしていくことが一番大事だ」と話す。
主要な民間発注団体や建設業団体、労働組合が参画する政府の建設業の働き方改革に関する協議会では8月中に「適正な工期設定等のためのガイドライン」を策定する。田村局長は、「民間発注者の意見を集約する受け皿としてガイドラインを作っている。徐々にガイドラインの浸透を図り、一定程度のところで少し規範性の高い標準契約請負約款であるとか、法律の世界に引き上げる取り組みが必要になると思う。規範性の高い仕組みを働き方改革と併せて作り、最終的には5年後を目指してソフトランディングさせていくという、少し時間を掛けた形の中でやっていかなければならない。一遍に進めると混乱してしまうので、すぐにはできないが、一個一個できることはスピード感を持ってやっていく」との姿勢をみせる。
また、「建設業の新たな課題はいろいろあると思うが、例えば設計労務単価は上がっているが、(下位の)下請けに行くとそうでもなく、末端まで行き渡っていないと言われる。そこは本当に難しいが、やっていかなければいけない大きな課題の一つだと思う」とし、改善の必要性を指摘した。
【略歴】たむら・はかる
1984年東大法学部卒、建設省採用。大臣官房人事課長、総合政策局政策課長、大臣官房審議官(道路局担当)、同(都市局担当)大臣官房総括審議官を経て、2017年7月7日付で現職。60年8月生まれ。57歳。東京都出身。