《連載⑩》 【地域建設業は想定外の災害にどう備えるか】「多様な手段で情報収集を」
2017/08/24特集企画/PR
建設メール
災害対応における新しい動きとして、深松組(仙台市)の深松努社長が東日本大震災後の仙台市地域での防災協定について、山﨑建設(新潟県)の山﨑健吾社長が無人飛行機での災害現場の撮影についてそれぞれ講演した。これに対し、アドバイザーの国土交通省大臣官房技術審議官の五道仁実氏と内閣府大臣官房審議官の伊丹潔氏がコメントを寄せた。
未曽有の大災害となった東日本大震災の現場で、発災直後から応急復旧の活動に入った深松組。加盟する仙台建設業協会として、大災害で得られた教訓をどのように生かしていくかを模索し、新たな防災協定を締結した点について伊丹氏は、「現場の最前線で行政と一緒になって取り組んでおり、危機管理組織としてその一翼を担っている」と評価した。
特に、今回説明のあった協定では、行政との2者間の協定ということではなく、それにとどまらない広がりを見せていることを評価。「さらに先進性を高めて、地元の体制構築につなげてほしい」と呼び掛けた。
五道氏は、建設業による災害対応や応急復旧の現状について、「地域建設業の方々が最初に現場に入り、道路啓開やがれき処理をすることで、自衛隊や消防が入っていける」と強調。さらに「国民の目に触れられない部分を、建設業の皆さまに担っていただいている」と感謝した。
そのような中で、各種団体との防災協定締結や、経験に基づいたマニュアル作成について、「ほかの地域にも大変役に立つ」と評価。
さらに、建設業の経営が厳しい中で災害時や除雪時に対応してもらうためには「利益を上げ、体力を持った企業でないとできない」と話し、「どの地域にどれくらいの仕事があるのか、長期的な見通しや維持管理が示されないと、資材や人材の投資ができない」と課題を指摘した。
また、ドローンについて五道氏は、建設生産プロセスの中において、測量、調査、設計、施工、維持管理などあらゆる場面で「たくさんの可能性がある」と説いた。またドローンだけではなく、「基準を一つ変えることで新しい技術がどんどん建設現場に入ってくるようなシステムが必要」とも述べた。
伊丹氏はドローンによる災害現場の撮影について開口一番、「災害現場の状況把握は最重要。それによって災害対応のメニューも変わってくる」とし、「ますます期待が高まる分野である」と付け加えた。
さらに、火山や海洋上で起こっている状況は有人飛行(機器)や衛星でも把握は可能だが、多用な手段で状況を的確に把握することが大事であることから、「無人機の今後の発展に期待したい」と述べた。(地方建設専門紙の会)
(つづく)