【関東整備局インタビュー】 丹羽克彦道路部長「首都圏3環状完成後も展望」
2017/10/03インタビュー
建設メール
関東地方整備局の丹羽克彦道路部長は就任インタビューに応じ、首都圏3環状道路整備などを推進する方針を示した上で、道路交通ネットワーク形成後に求められる事業展開を展望した。さらに、道路施設の老朽化対応・耐震対策などに取り組む考え。建設企業を事業推進のパートナーと捉えており、発注者として担い手の確保・育成に寄与する適正な賃金・工期の確保に努めなければならないと語った。
就任に当たり「首都圏3環状道路の整備を進めるほか、中部横断自動車道や東関東自動車道水戸線における高速道路のミッシングリンク解消に取り組むことになる」と見据えた。加えて「3環状によって首都圏における道路交通の骨格・ネットワークが形成されるが、渋滞や災害に対応するための多重化や予備的手段など不明確な点もある」と述べた上で、「完成後はデータに基づいて弱点を抽出し、首都圏・日本の活力を増進させるために何をすればいいのか考えなければならない」と話す。
具体的には「ピンポイントの渋滞対策など、多大な資金を投入せずにできることも検討したい」と展望した。さらに「東京外かく環状道路については、東名高速道路から湾岸道路までの区間を含めて整備を推進する必要がある。また、新大宮上尾道路や東京湾岸道路の東京港トンネル・多摩川トンネルなど、目的があって計画されたものはしっかりやり遂げないといけない」との考えを述べた。
また、「喫緊の課題となっている橋梁やトンネルの老朽化に対応するとともに、首都直下地震を見据えた耐震対策を早急に完了させなければならない」と力を込めた。一方で「特に市町村による老朽化対策への金銭的・人的な支援」を課題に挙げた。
災害対策に関しては「関東地方整備局は首都圏を抱えている。災害が起こっても対応できるよう、事前の準備・対策に緊張感を持って取り組みたい」と語った。
訪日外国人客4000万人を掲げる2020年のインバウンド目標値に絡めて「海外の主要都市に遜色ない道路景観を実現するため、自治体に働きかけながら無電柱化に取り組む。さらに、外国の方にもわかりやすい道路標識を整備したい」との方針を表明した。
建設企業に対しては「道路整備・管理、災害対応を行う上で、車の両輪のようなパートナーと感じている。良好なコンビネーションでやっていきたい」と求めた。
建設業界を取り巻く課題に対しては「工事だけでなく、設計や点検においても効率化が図られる新技術が活用されるようになれば、生産性の向上が実現するのではないか」との見方を示した。
担い手の確保・育成は「週休2日確保の取り組みなどを応援していきたい。発注者としては、適正な賃金と十分な工期の確保に努めなければならない」との見解を述べた。
【略歴】にわ・かつひこ
1990年早稲田大学大学院理工学研究科建設工学修士課程修了、同年4月建設省入省。近畿地方整備局京都国道事務所長、道路局企画課道路事業調整官、日本高速道路保有・債務返済機構企画部長などを経て、7月から現職。渋谷区出身、53歳。休日は新たに開通した道路などをドライブする。