〈耳寄り〉 鉄筋の結束もロボットが行う時代に
2017/10/19コラム
建設メール
大成建設は千葉工業大学と共同で、交差する鉄筋を針金等により自動で留める自律型鉄筋結束ロボット「T-iROBO Rebar」を開発した。2018年度から本格的に現場へ導入し、ロボット本体の性能や使いやすさ、耐久性など機能の向上を図る見通しだ。
鉄筋工の高齢化や労働力不足が今後の課題となる中、今回開発したロボットは、鉄筋工事の約2割を占めるとされる鉄筋結束作業について自動で鉄筋の結束と移動を繰り返すことができる。鉄筋工事では従来よりも作業の効率化と生産性向上が求められているため、ロボットの活用により作業の少人化と効率化が期待される。また、鉄筋工の負担軽減に加え、労働力不足により事業が遅れるリスクの低減も見込む。
ロボット本体は自律して鉄筋上を安定した姿勢で前後左右に移動することができ、「テーバー車輪」を介して本体が鉄筋上にしっかり設置されているため、鉄筋結束時に本体がぶれないという。また、車輪に仮設置時の配筋誤差を吸収する機構を備えており、鉄筋配置に合わせた円滑な移動が可能となっている。ロボット本体の大きさは幅40㎝×奥行き50㎝×高さ30㎝で、全重量は20㎏以下。サイズが小さく軽量なため、作業員1人でも持ち運びができる。
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鉄筋工事でもいよいよロボットが活躍する時代が到来する見通しになった。作業精度が確認され、価格も安価であれば重労働の担い手としてロボットが重宝されることになるだろう。その一方で鉄筋工の手による出来映えの美しさは熟練工の誇りでもある。難しい作業になればなるほど達成感があると話す職人もいる。熟練の技術は継承しつつ、本当に大変な作業はロボットに任せるような共存の道を、今から考えておく必要がありそうだ。