【総合評価方式】 段階的選抜は1次でさらに絞り込みも
2016/03/02建設時事
建設メール
国土交通省は総合評価落札方式で活用する段階的選抜方式について、1次選抜時の業者数をさらに絞り込む考えを1日開催の総合評価方式に関する有識者会議で提案した。現状では10社に絞り込む場合が多い1次選抜者を工種や工事内容などに応じ、さらに絞り込むほか、不調・不落の可能性が低く、早期契約が必要ない場合は同方式を基本とする可能性も出てきた。
技術提案評価型(S型)を中心に2012年度からの3カ年に段階的選抜方式で実施された82件の平均競争参加者数は15・7社。同方式の入札参加者や発注者からは選定者の固定化や不調・不落の発生、事務負担の増加が課題として指摘されていたが、国交省が検証した結果、現状では著しい支障はみられていないという。
特に平均入札参加者数が多い「一般土木」「鋼橋上部」「PC」の3工種については、予定価格内で応札者がいない不落の発生率が低い傾向にある。また、「鋼橋上部」と「PC」は1次審査順位5位以内の参加者が落札した割合は85%以上と高いことが分かっている。
委員からは先行きの選定者の固定化を懸念する意見も出たが、一層の推進を求めるべきとの指摘もあったため、国交省では今後も分析を進めながら段階的選抜のあり方を検討する見通しだ。
〈記者の私見〉
競争参加者が多いと見込まれる入札の場合、受発注者双方の事務負担軽減を図ることが目的の段階的選抜方式だが、現状では実施件数が非常に少ない。1次審査における発注者側の恣意的な選抜を防ぐ透明性が確保されている限り、落札者が固定化する傾向が特に見られない以上は、さらに実施件数を増やすべきだろう。高知県で発生した入札談合問題を受けて停止している施工能力評価型での同方式再開も考える時期に来ている。ただ手続き期間が長くなる場合も多いため、審査期間をより短縮する工夫が求められる。