【建設投資見通し+記者の眼】 18年度は51・5兆円に上方修正
2017/10/30記者の目/論説
建設メール
建設経済研究所と経済調査会経済調査研究所は30日、建設経済モデルによる建設投資の見通し(2017年10月版)を公表した。18年度予算概算要求における復興関連予算の増額等を踏まえて7月の推計値から上方修正し、17年度の建設投資は前年度比1・4%増の53兆2300億円、18年度の建設投資は同比3・2%減の51兆5500億円と予測している。
また、政府建設投資について、17年度は前年度比3・3%増の21兆7800億円で変更はなかったが、18年度に関しては同比7・8%減の20兆800億円と7月の推計値から4600億円増加すると、予測を上方修正した。このまま推移した場合、建設投資の50兆円超えと政府建設投資の20兆円超えは6年連続となる見通しだ。
民間建設投資のうち住宅投資では、17年度の住宅着工戸数は前年度比1・0%減の96・4万戸、18年度は同比0・1%増の96・5万戸になると予測。いずれも7月の推計値から若干の上方修正を行っている。18年度の持家は、消費税増税による駆け込み需要の影響から前年度比4・0%増の30・2万戸と予測したが、貸家は相続税の節税対策による着工が徐々に減ると見ており、同比1・9%減の40・5万戸と予測している。
非住宅投資(建築+土木)は、17年度が前年度比1・9%増の16兆円、18年度は同比0・5%減の15兆9200億円になる見通しで、7月の推計値と比較して17年度は800億円増、18年度は300億円増となった。
〈記者の眼〉
今回の見通しには、当然ながら政府の17年度補正予算は加味されていない。今後、補正予算が編成された場合には18年度の推計値がさらに上方修正されることから、政府投資が20兆円を下回ることは、ほぼ無さそうだ。住宅投資に関しては、計画どおりに消費税増税となる場合、持家については18年度に増税前の駆け込み需要の増加が見込まれるが、8%に引き上げた前回ほどの需要は無いといわれている。低金利の効果が弱まってきていると考えられる中、5年ぶりに30万戸を超えると予測した30・2万戸の着工戸数が実際にどのようになるのかが注目される。