【道建協の働き方改革+記者の眼】 24年度の週休2日制完全実施が目標
2017/11/16記者の目/論説
建設メール
日本道路建設業協会(道建協)は、道路建設業界における「働き方改革に向けた基本方針」を策定し、16日付で会員へ周知を図った。長時間労働を是正して週休2日を推進することで建設技能者の処遇改善、生産性向上などの諸課題に総合的に対処する考えだ。週休2日に関しては2024年度の完全実施を目標とする。
自主規制で行う長時間労働の是正では、22年4月までに年間の時間外労働の上限値を720時間以下とするため、上限値の達成目標として18年4月までに年960時間、19年4月までに年900時間、20年4月までに年840時間、21年4月までに年780時間を掲げ、段階的に時間外労働時間を削減する。
週休2日の実現に向けては、道建協が行っている6月と11月の第二土曜日の閉所運動を拡大し、18年度から2年間は毎月、第二土曜日の閉所運動を進める。24年度の週休2日制完全実施を目標に、20年度以降は第四土曜日まで、22年度以降は第一土曜日まで閉所運動を拡大する。土曜日閉所に限定することが困難な場合は代休などで休日の確保を行い、各期間で月の休日数確保に努める。18年度と19年度は4週5休、20年度と21年度は4週6休、22年度と23年度は4週7休を確保し、24年度からは4週8休を定着させる。合材工場に関しては輪番制の検討などを行う。
業界全体の取り組みでは、発注関係機関に対して適正工期の設定、提出書類の簡素化・合理化、週休2日制導入に伴い技能労働者の賃金水準が確保できるような労務単価の増額などを要請する。
各社に対しても、正確な勤務実態の把握、所属長・職長への長時間労働是正に関する意識改革、技能労働者の社員化、常用者の月給制や協力会社の請負化推進、直行・直帰の奨励、現場近隣の宿舎用意、残業時間の抑制などの取り組みを求める。
18年度以降、毎年度フォローアップを行い、会員企業の段階的な取り組み状況等を把握していく。
〈記者の眼〉
日本建設業連合会に続き、道建協も技能労働者の社員化、常用者の月給制推進を打ち出した。また、長時間労働是正や週休2日制の導入に伴う技能労働者の賃金水準確保に努めるなど、基本方針からは働き方改革の実現には技能労働者の処遇改善が必要不可欠であるという認識が読み取れる。道建協の会員企業は高速道路会社からの工事受注も多いため、週休2日制の実現は簡単ではない。ただし、国民から早期開通が常に期待される高速道路関係の工事で合材工場を含む土曜日の一斉閉所運動への理解が進めば、他の民間発注工事にも波及する可能性がある。今後の道建協の取り組みが注目される。