〈耳寄り〉 20代男性は休日に外出せず
2017/11/22コラム
建設メール
都市における人の移動の目的や交通手段を調べるため、国土交通省が2015年に実施した全国都市交通特性調査の結果がまとまり、20代男性が休日に外出する割合が30年間で半減したことが分かった。若者の傾向としては、外出率を男女別に見ると、男性は全年齢平均を下回り、女性は上回った。経年で見た場合、移動回数は特に休日の男性の減少が目立った。就業形態別では正規と非正規の差が若者で顕著で、非正規や非就業の移動回数が少なくなっている。
若者がどのような目的で移動したかの経年変化によると、平日は男性の業務目的の移動が大きく減少。休日は男女ともに買い物以外の私用(食事、観光、送迎、その他私用)の移動が大幅に減っている。これに関してはインターネットやスマートフォンの急速な普及と、通信販売の人気に伴い年々増加する宅配便取扱数が影響していると考えられる。
全体の傾向としては、調査日に外出した人の割合、一日の移動回数ともに調査開始以来最低の値になったほか、若者(20代)の移動回数が高齢者(70代)の移動回数を下回るまで減少した。
子育て世代の傾向では、子どもがいる30代の世帯では、送迎を目的とした女性の移動が多く、男性の8倍となった。30代の送迎に着目すると、三大都市圏の男性や地方都市圏の男女では自動車で送迎する割合が大きい一方、三大都市圏の女性は自動車を多く利用している。
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今回の調査により、若者の外出が減っている傾向が明らかになったが、諸外国においても若者の移動回数は減少傾向にあるそうだ。また、利用している交通機関の割合の経年変化も興味深く、鉄道の利用割合・利用回数が増加しているのに対して、自動車の利用割合は三大都市圏だけでなく、地方都市圏でも減少しているという。若者の免許保有に関する傾向のデータを見ると、20代の免許保有率は05年が89%、10年が87%、15年は84%と減少傾向にあり、若者の車離れが進んでいることを裏付ける。現在、社会問題となっている一部自動車メーカーによる完成検査の不正問題が、さらなる車離れに拍車をかけなければいいのだが。