【建設産業政策2017+10】 提言内容の具体化が着実に進む
2018/01/11建設時事
建設メール
建設産業政策会議による10年後を見据えた提言「建設産業政策2017+10」が昨年7月に石井啓一国土交通大臣へ提出されてから半年が経過し、早期に取り組み可能な施策の具体化が着実に進んでいる。また、17年度補正および18年度当初予算案でも建設産業関係で関連予算が盛り込まれており、働き方改革の推進や担い手の確保・育成等に向けた新たな施策が注目される。法改正を伴う制度改正の検討に関しては今後の課題となるが、業界団体からは提言に盛り込まれた施策の実施について「スピード感」を持った取り組みを求める要望も出ており、早期の検討が求められる。
提言を受けた具体的な取り組みとしては、昨年7月以降、経営事項審査における防災活動への貢献状況や建設機械保有状況の評価拡充と見直し、社会保険加入促進対策を強化するための建設工事標準請負契約約款の改正、建設業の働き方改革に向けた適正工期設定ガイドラインの策定、技術者制度の関係で電気通信工事施工管理技術検定の創設、登録基幹技能者の主任技術者要件への認定、2級学科試験の年2回化による技術検定受験機会の拡大などが打ち出された。同ガイドラインを受けて業界団体や個々の企業でも働き方改革に関する自主的な取り組みを始める動きが出ている。
18年度予算案では、建設業許可等の電子申請化に向けた調査・検討や専門工事企業等に関する評価制度の構築検討、建設職人の安全・健康の確保推進、地域建設産業における多能工化の推進に関する費用などを新規で計上している。
業界内外の連携による働き方改革や生産性向上の関係では施策の具体化が進んでいる一方、地域力を強化する施策の多くは、これから検討が進む見通しだ。今後は地域の建設企業の役割明確化や経営基盤強化、地域建設業の安定的な担い手確保につながる入札契約方式など、地域の守り手であり地方創生の担い手でもある地域建設業の持続性を確保する取り組みの早期の具体化が期待される。