【新規事業化】 事業費1670億円で荒川第二・第三調節池整備へ
2018/03/05建設時事
建設メール
国土交通省の社会資本整備審議会・事業評価小委員会が5日に開かれ、2018年度予算における新規事業採択時評価の対象となった荒川直轄河川改修事業(荒川第二・三調節池)について、新規事業化が妥当とされた。事業箇所は埼玉県さいたま市、川越市、上尾市内。事業期間は18年度から30年度までの13カ年で、総事業費に約1670億円を見込む。
対象となる調節池群は左岸側に整備する。全体計画規模は約760haで、内訳は第二が約460ha、第三が約300ha。治水容量は全体が約5100万立方メートルとなり、うち第二が約3800万立方メートル、第三が約1300万立方メートル。他に約13㎞の囲ぎょう堤なども整備する。
荒川の調節池は、16年策定の荒川水系河川整備計画において「抜本的な対策として中流部の調節池の整備を優先して取り組む」と位置付けられている。同計画では右岸側での荒川第四調節池の整備も盛り込まれているが、今回、検討の熟度や事業規模、関係者との調整などの要素を考慮して、第二・三調節池を先行して事業化する。
既存の荒川第一調節池を含めた荒川調節池群の整備により、目標とする100年に1回規模の洪水流量に対し、下流部に集中する東京都内の市街地における流量低減だけでなく、中流部や支川上流部の堤防整備も可能となるため、荒川全体の治水安全度向上につながる見通しだ。
委員会では、費用便益比(B/C)が11・7であり、事業の必要性が高いことから、早期に事業を進めて氾濫リスクを下げることが重要とされた。
また、事業実施に当たっては地域の安全を守るための事業であるといった認識を地域住民と共有しながら進めることや、現場見学会の活用などの効果的な情報発信が必要という指摘があった。