【建設産業政策】 初の本格的な許可制度見直しを提言
2018/06/18建設時事
建設メール
国土交通省が18日に開いた中央建設業審議会(中建審)等の基本問題小委員会で、工期ダンピングの禁止や地方自治体発注工事における施工時期の平準化、社会保険未加入企業の許可・更新を認めない仕組み、技術者配置要件の合理化などを盛り込んだ中間とりまとめ案が固まった。昨年7月に提言した「建設産業政策2017+10」における制度上の対応が必要な施策を具体化するとともに、昨今の建設業を巡る課題に的確に対応するため、建設業法等の改正も視野に建設業許可制度や技術者制度など建設業制度の基本的枠組みの見直しを提言している。特に許可制度では社会保険加入や地域建設業の持続性確保の観点から、届出制から許可制に移行した1971年以来、初めの本格的な見直しを求める。
提言案では、担い手確保の取り組みを強化するために当面講ずべき措置として▽長時間労働の是正▽処遇改善▽生産性向上▽地域建設業の持続性確保―の項目別に現状と課題を踏まえた対応の方向性を示した=添付のエクセル表参照=。
長時間労働の是正では、適正な工期設定に関する基準を中建審が作成し実施を勧告できる規定や、受注者による工期ダンピングの禁止、施工時期等の平準化を公共発注者が取り組むべき事項として明確化するほか、平準化の取り組みが遅れている地方自治体に対して、より実効性を持って取り組みを促すことができる制度の検討を求めている。
建設業許可の関係では、社会保険に未加入の建設企業は許可・更新を認めない仕組みの構築や、許可基準における経営管理業務責任者の要件について廃止も含め制度の見直しを検討すべきとした。
技術者制度では主任技術者配置要件合理化のための専門工事共同施工制度(仮称)の創設、監理技術者補佐(仮称)が専任配置されている場合には一定の条件下で当該工事の監理技術者の兼務を認める仕組みの創設を提言。専門工事共同施工制度は重層下請構造改善の観点からも早期の制度化が望まれるとしている。
なお民間発注工事における円滑な工事発注や適正な施工の推進、民法改正への対応、建設産業の経営力の向上に関しては、今後さらに検討すべき事項とした。