【西日本豪雨】 災害復旧へ国交省は61億円の予備費使用
2018/08/03建設時事
建設メール
政府は3日、7月の豪雨災害への対策費として2018年度予算の予備費使用を閣議決定した。国土交通省関係の使用額は61億円で、内訳は公共土木施設等の災害復旧等事業に22億円、早期復旧・復興のためのまち・住まいの調査に3億円、被災地における周遊旅行への支援等を通じた観光需要の喚起に36億円を配分する。
具体的な取り組みのうち、都市災害復旧事業では、まちなかに堆積した廃棄物、がれき、土砂を迅速に撤去するため、国交省と環境省が連携して市町村が行う地区単位の一括撤去を可能とする新たな仕組みの一環で、広島市など3市4町で堆積土砂排除事業を実施する。また国が管理する高梁川など4河川と岡山、広島、愛媛県が管理する河川では、台風期に備えて河川の浚渫および樹木撤去を緊急的に行う。
さらに特に被災が集中した地区で自治体を積極的に支援し、まち・住まいの早期復旧・復興につなげるため、国が被災自治体と連携して被災状況や地元の意向に応じた復旧・復興手法を検討する直轄調査を進める方針だ。
石井啓一大臣は同日の会見で、引き続き関係府省・自治体と連携しながら、被災地の再建と生業の再建に向けて全力で取り組む考えを示した。
◎土砂災害の検証と今後の対策検討へ
国土交通省は広島県、愛媛県を中心として広域にわたり多数の土砂災害が発生した7月の豪雨を踏まえ、土砂災害の検証と今後の対策を検討する。有識者で構成する実効性のある避難を確保するための土砂災害対策検討委員会を設置し、土砂災害の被害実態、土砂災害警戒情報および土砂災害警戒区域、ハザードマップに関する検証を行い、ハード・ソフトの連携の在り方などを検討する。
通常の1年分に相当する1000件以上の土砂災害が発生した今回の豪雨では、土砂災害警戒区域の指定や土砂災害警戒情報などを踏まえた避難勧告がおおむね実施されたにも関わらず多数の犠牲者が発生しており、避難行動の在り方が課題になっている。今月10日には現地調査と委員による意見交換を行う。