【中建審総会】 約款改正と今後の民間工事契約で専門的議論を
2018/08/06建設時事
建設メール
中央建設業審議会(中建審)の総会が6日に開かれ、建設工事標準請負契約約款改正と民間工事の契約等に関する2つのワーキンググループの設置が承認された。
標準請負契約約款の改正は、2020年4月1日から改正民法が施行されるなど建設業を取り巻く情勢の変化を踏まえて、中建審が勧告している同約款についても内容を検討する。具体的な改正内容は有識者や実務関係者を交えて議論し、改正民法の内容を考慮した約款の見直しと、建設産業の請負契約の現状を踏まえた約款改正事項の検討を中心に審議する。19年内にも成果をまとめる。
今回の民法改正では、瑕疵の修補請求と呼ばれていたものが「履行の追間請求」となり、新しく代金減額請求が追加された。また担保責任期間に係る建物等の例外的扱いが廃止され、今後は契約に適合しないことを知ってから1年以内に通知すれば足りることになった。債権の消滅時効は「権利を行使することができる時から10年」という時効期間に加え「権利を行使することができると知った時から5年」という時効期間が追加される。建物・土地に関する契約解除の制限規定も削除され、催告期間内に債務の履行がない時は、債務不履行が「軽微」である場合を除き契約を解除できることになった。
主な論点としては民法改正を踏まえた約款上の担保責任期間の在り方や代金減額請求権の約款上の位置付け、建物・土地に関する契約解除の制限規定削除に伴う約款上の規定の整備、債権譲渡による資金調達の円滑化という民法改正の趣旨を踏まえた特約事項の在り方などを想定している。
一方、民間工事の契約に関しては、中建審等の基本問題小委員会が6月にまとめた提言で民間工事における円滑な工事発注や適正な施工の推進が「今後さらに検討すべき事項」とされたことを受けて、より専門的な検討に乗り出す。契約締結段階よりも前の段階を含めて幅広く議論する見通しで、技術職員が不足する小規模な民間発注者などへの支援体制の強化、発注工事の性格や地域の実情に応じた事業者選定の円滑化、民間発注工事における法令順守、施工体制の適正化が主な検討事項となる。ワーキンググループは基本問題小委員会の下部組織として設置する方針で、スケジュール等は今後検討する。