《連載⑦》 【地域のインフラメンテナンス】「安定的受注への支援検討」
2018/08/22特集企画/PR
建設メール
第2部「地域連携による新たな取り組み」では、栃木県北建設業協同組合によるメンテナンス体制強化と、福島県の宮下地区建設業協同組合によるビッグデータを活用した路面現状把握システムが紹介された。アドバイザーの五道仁実国土交通省大臣官房技術審議官と伊丹潔内閣府大臣官房審議官(防災担当)は、地域の事業者が連携した新たな取り組みを、それぞれの立場から高く評価した。
五道氏は、建設業の新3Kと言われている〝給料・休暇・希望〟のうち〝希望〟の実現に向けて、「メンテナンスをはじめとする地域の公共投資がどれだけあるのか、国・県・市町村の発注分を含めた将来見通しを示すことも考えねばならない」と、各発注機関の発注見通しの統合に続く新たな取り組みの必要性を示唆した。併せて、この受け皿となる地域の事業者が、安定的に受注を確保できる発注の在り方についても議論中だと報告。協同組合などで地域のメンテナンスを担っている事業者からも、新たな発注・受注方法の在り方の参考になるような意見が出てくることを期待した。
路面現状把握システム開発の際に、宮下地区組合が主眼とした〝時間・人・情報の活用〟に対しては、政府が進める〝働き方改革・人づくり革命・生産性向上〟につながると発言。「新しい技術を導入することで、若い人や女性、高齢者が建設の現場で働けるようになる」とも述べ、高く評価した。その上で、本年度予算に盛り込んだ『新技術導入促進調査経費』では、「実際の現場の中で新技術の開発・実証が可能になった」とし、宮下地区組合のように中小事業者が技術開発に積極的に取り組むことを求めた。
一方、伊丹氏はフォーラム当日の朝に開かれた中央防災会議で、安倍晋三首相がハード・ソフトを適切に組み合わせた総合的な防災対策に官民一体で取り組む考えを示したことに触れ、「この場でも、官民連携や地域連携の話が出たことは大変心強い」と評価。そして、地域の建設業者による協同組合を「災害協定の実効性を支え得る主体の一つ」とたたえた。
ビッグデータの活用については、防災分野でも、官民が保有するさまざまなデータを連携させて実装化する動きがあることを紹介。「本日のビッグデータ活用にも通じるところが大いにある」とし、路面現状把握システムが防災の視点からも発展的に活用されることに期待を寄せた。
また「建設業などの専門技能があって初めて成り立つのが防災活動。地域のインフラを日常的に管理する建設業者の有無が地域の防災力の大小につながる」との思いも語り、フォーラム参加者の活躍にエールを送った。(地方建設専門紙の会)※登場者の肩書きは6月29日時点のものです。