【国土交通省就任インタビュー】 技監・菊地身智雄氏「地域経済支えるインフラ整備を」
2018/08/24インタビュー
建設メール
国土交通省の菊地身智雄技監は就任インタビューで「日本の成長を支える原動力となるようなインフラをしっかりと整備していくことが重要。特に道路はまだまだ整備水準が十分ではないと思っている。自治体から要望を受ける中で、道路をはじめとして地域経済を支えているインフラの整備の必要性を肌で感じている」との見解を示した。
今後の防災・減災対策については「これまで以上に防災・減災に取り組む必要がある。災害の激甚化がこれからの大きな課題だとすると、国民の安全安心を守るという国土交通省に課せられた役割の中でも特に大事な取り組みになる」と話す。
インフラの老朽化対策に関しては「高度経済成長期にさまざまなインフラが集中的に整備され、大規模なメンテナンスが必要になる時代を迎えるため、しっかりと対応していくことが重要。その意味ではインフラ老朽化対策は日本のインフラ行政の中でも非常に重要なウエートを占めてくる分野ではないか」とした。
建設産業に対しては「地域の守り手である建設業が引き続き事業を継続していけるように建設業が抱えている課題に真正面から取り組んでいく。政府全体で進めている働き方改革は非常に重要で、休日の確保や適正な処遇、工期設定を含めて発注者としてやれることをやっていく。建設業が魅力ある産業になるために国として率先して取り組みたい」との姿勢を見せる。
建設現場の生産性向上については「i-Constructionは国交省の政策で大きな位置付けをされている。生産性を上げることによって建設業が成長し、労働時間の短縮や処遇の改善にもつながる。国が先頭を切っていろいろな事業でやりながら経験をして、それを地方自治体に事例として提供していく。あるいは小規模な工事、中小の事業者でもできそうだと思っていただけるように対応していく。そのための技術的な支援や発注者協議会等を通じた協力が大事になる」と語る。
また技術系職員が不足する自治体の支援に向けては「例えば道路はネットワークとして機能して初めて効用を発揮できる。一部がうまくいかないことが全体にも響くと思う。自治体と連携しながらインフラ全体として健全に維持し、整備を推進していけるように必要なサポートはやっていきたい」との考えを述べた。
【略歴】きくち・みちお
1985年東北大大学院工学研究科修了、運輸省採用。国土交通省近畿地方整備局港湾空港部長、港湾局計画課長(兼)大臣官房広報戦略室広報戦略官、大臣官房技術参事官(港湾局担当)、港湾局長を経て本年7月31日付で現職。61年1月生まれ。57歳。宮城県出身。